ソレイユストーリー
▽▲▽▲▽ ソレイユストーリー ▽▲▽▲▽

2003年07月02日(水) 4話 『逃走…』

    
    






たちまち方舟ギルドの連絡網を通して指名手配が敷かれた。
懸賞金は親方のコレクションの鳥を全て買えるほどの高額。
懸賞金目当てのごろつきが、大挙して巡視艇を追跡した。



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ドーラには密かな勝算があった。
日が暮れるのを待つと、あえて船速を緩めて追っ手を引き付けた。
やがて土地感のある暗礁海域に差し掛かった。
彼は岩礁に取り付けられている数多のビーコンの周波数をシフトした。
さらに時間が経つとランダムにシフトするように設定した。
これで追っ手の目を奪った事になる。

巡視艇はわざと追っ手から見えるように煌煌と翼端燈を照らした。
熟練したマニュアル操作で暗礁を掻い潜っていく。
追っ手はここぞとばかり突進してくる。
しかし案の定次々に座礁していった。

二人はギルドの追跡がこのまま終わるとも思えず、
念の為どこかの人工島に姿をくらますことにした。
最寄の島は海図によればもう三日で着く距離にある。

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翌日の昼過ぎ。
遥か東の水平線には陸地が見えてきた。
リアラは鳥と戯れながらデッキで寝転んでいる。
ドーラはレーダーに注目しつつもどこか余裕があった。
オート航行に切り替えるとデッキの縁に歩み寄った。

「キミもその子も自由だよ…」

腰掛けるドーラ。

「ありがとう…」

と少女。
キスを交わす二人。
鳥が舳先に飛んでいく。
向かい風のため、まるで釣り糸でぶら下げられているかのように、
ゆらゆらと揺れながら一点に留まる。
その時だった。
さきほどから静かに並泳していた海中の魚影が海面に頭を出した。
体長4メートルあまりのテッポウカジキだ。
その鉄パイプのような鼻先が水の矢を放った。
鋭い放水が鳥に命中した。
鳥は海中に落下した。
二人はスローモーションを見てるいようだった。

「きゃぁっー!」

叫ぶリアラ。

「だめだ!」

ドーラの声も耳にはいらなかった。
彼女は反射的に海へ飛び込んだ。
大きな波に飲まれる少女の華奢な体。

踵を返す船。すでに彼女の姿は見えない。
テッポウカジキは人間を食う程大きな生き物ではないはずだが…

「リアラーっ! リアラーーっ!!」

声の限り叫ぶドーラ。
彼女は見えない。
どこにも見えない。



   


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