│←「あの子は病気だから・・・。」→│
なんて特別待遇を受けたくなくて,あたしは精一杯, 人前では明るく振舞っている。自画自賛して,「素敵な笑顔をしている」と思う。 そうできないように自分が落ち込む状態である時は なるべく人と会わないように,約束を流してしまうし, 状態が落ち着くまで家でじっとしている。 統合失調症(旧:精神分裂病)は,120人に1人, 発症すると言われているこの時代に,あたしは 特別待遇される価値はないと思っている。 何らかの病名をつけられた人であっても,それを知らずに 頑張っている人だっていることを忘れないでおきたいからだ。 『鬱病歴7年の24歳です。』と囁かれたところで, それは特別苦労してきた人だとも思えないし, 鬱病だと診断されず,精神科あるいは心療内科にも行かず そういう病気にかかっているかもしれない人を,あたしは知っている,。 手首自傷症候群が何だ? 切りたきゃ,切断すればいいんじゃねえか。指切り拳万も出来ねえ小心者め。 あたしはいつも,そう思いながら,縫うほどの傷しか作れない。切っても。切っても。 外科医に縫合してもらえば,その手首は切り落とさなくて済むのだ。 馬鹿じゃないか。 しかし,そうも言えない。それが人間の脳味噌の複雑さの象徴であるから。 裏を返す,ということを,いつもしなくてはならないし,考えに入れておかなければ たくさんの人間という半端な生き物の意見にはそぐえないのだ。 勿論,あたしは万人の意見に頷く気は毛頭ないけどね。綺麗な死に方じゃ,汚く生きてきた自分がもったいないだろうに。 とても可哀想だとは思わないか。 クスリや練炭で死ぬなんて御免だね。思い浮かべただけでも反吐が出る。 あたしの手元には,もう,クスリなんて在りやしない。練炭もな。 あるのは血まみれのバスタオルと,ラードで焦げ付いた眼だけ・・・
生きていてもいいんだろう。
あたしの命日を決めるのはあの人だけなんだから。 神様か,はむちゃん。 アナタだけなんだから。
病気なんて無くたって,あたし達は愛し合っていける。 と,甘ったるい願望を述べてみた。
p.s. 母が大火傷を負いました。髪の毛,白目,鼻,唇,両耳,両手にかけて, 焼け爛れています。水ぶくれが出来ていました。 勤務する施設でアルツハイマー病のご老人を助けようとした様子。 炎が一気に服へと燃え広がり,ご老人の所へ飛び火しないように急いで 服を脱ぎ捨てたらしいです。あたしはその現場に遭遇していませんでしたが 母の頭を洗面台で洗っている時に,消火器の粉がついているのが解りました。 髪の毛は縮れて,眉毛はほとんどなく,マツゲはお人形のように揃っています。
命に別状はないと思われますが,念のため, 二時間おきに施設のお医者さんに診て貰っています。 今晩は,母は家に帰らないそうです。§2004年02月20日(金)§ |