│←すべての人間の命は重い→│
平日の閑散とした朝から、熟れた桃の実に噛りつく。 果汁は包帯を巻いた腕を滴り、あたしをあまい世界へと 不気味なほどに誘惑する。
夜、ろくに睡眠もとれずに、欠伸ばかりをしていたら、 「覚醒剤をやっているような人の眼だ」と、母に言われた。
机上には、一週間ほど前に大量の血のこびりついたカッタァが あり、あたしを常時、見つめている。 そうして、時折、その赤黒いカッタァは、あたしに向かって、 ・・・「早く、、切れ」と横目遣いで 囁く。
あたしの暗い性格は、 DNAで決定されているようなものであって。今更、変えられないのです。 楽しく・明るく・書こうとするのが難儀で、いつも下を見つめてばかり。 ありがとう。
大昔、殺害された被害者の両親や知人は、 一人の人間が殺された時、 犯人が誰であろうと公正に裁かれるという制度は、現代でこそ常識だが、 無念のうちに死んでいった無数の人々にとっては、 「すべての人間の命は重い」 という考え方が実現されるのは、永遠の夢であり、悲願だったのでしょう。
頭の良い子だったら、判っていたはず。12歳なら、重い罰を受けないことさえ。 あたし達は、少年の行動を批判するのではなく、報道局から流れる意見が蔓延する中で、 自分自身のこの事件から何らかの教訓を得なければならないのではないか。 しかし、この少年は、棺まで嫌悪感を持っていくだろうか。§2003年07月09日(水)§ |