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2004年08月22日(日) 新撰組(山南切腹)

”なぜ、お前に頼むか、わかるだろうな”

近藤慎吾ちゃんの言葉に、総司の顔が微笑む。
大好きな山南さんには、もう会えないかもしれない。
でも、同じ太陽の下、生きていれば、またきっと、会える。
だから、山南さんが、目の前に現れた時、総司の心は、凍りついた。


”草津までは、急ぎましょう”

少しだけの、ちいさな賭け。
草津に行って、それでも、まだ、追っ手が来なかったら、それも運命。
だが、運命は、皮肉な方に、回っていた。

少しだけ、息を吸い込んで、目を閉じる。
自分の命の終わりが来たことを、知る。いや、進みだす。

”沖田君!”



”どうして、わたしたちの気持ちを、わかってくれないのですか!”

後悔はしていない、という山南さん。
だが、その衝撃は、隊全体に、響いている。

何が正しくて、何が間違っているか?
土方さんも間違っていないし、山南さんだって、間違っていない。


”オレには、あのふたりは、認め合っているように見える”

オダギリ斉藤の言葉。


互いに目的は同じ。違うのは、方法論。
過激な意見の土方さんには、山南さんの意見は、いいブレーキ。
慎重な山南さんには、怒涛の勢いで引っ張ってくれる、土方さん。
互いにないものを、互いが持っているからこそ、相手を必要とする。

だが、今回は、互いに譲れない。
そうなった時、最良の伴侶が、最大のライバルへと、変わっていた。


死を覚悟した人の表情や動作は、うっすらと不気味だ。
飄々として、生きているのに、どこか異世界の人のよう。

開かれたふすまを、ぴしゃんと、閉める。
ぞっとするほどに、静かなたたずまいで。

周りの人が、生き延びてほしい、と、願っている。
時間をかせいだり、逃走用のおにぎりを渡したり。

”酒といっしょに、飲むといい”

みなの思いをよそに、山南さんはひとり、死の旅へと進んで行く。


土方さんとの、最期の会話は、言葉少なく。
山南さんには、伝えるべき言葉はあれど、
死を決意した山南さんに、伝えるべき言葉を、土方さんは持っていない。

いや、本当は、あふれかえるほど、あったのだろう。
なんで、戻ってきたんだ、とか、オレの考えが、死ぬ程にイヤか? とか。
でも、のど元まで出てきた言葉は、結局、言えなくて。


ひとり、静かに、さようなら。
みんなが見守っているのに、山南さんの心は、遠い新撰組の未来に。
けれども、その未来は、彼自身のいない世界。

土方さんも、オダギリ斉藤も。
目を真っ赤に晴らして、最期の山南さん。


”わたしは、その為に、剣術を学んだワケではない”

そうだね、総司くん。
でも、山南さんが、あなたを選んだのは、きっと、
人を切る、ということを、教えたくて、そうしたのだと思う。
剣士として、心に刻んでおかなければいけない、人が死ぬ、ということを。

自らの命が尽きるなら、あなたにそれを教えたいと。
きっと、それは、刀の先が上がっていない、ということよりも、
とても、大切なことなんじゃないかと、自分は思う。


号泣する、土方さん。
泣きながら、その肩を抱く、近藤慎吾ちゃん。
その姿は、多摩の、かっちゃんとトシ。
互いに、新撰組、という枠を離れて、一人の友人の死を悼む。

手を下したのは、自分たちなのに。
山南さんが、自分達に伝えようとしたことも、今は重すぎて。


だが、泣いている場合じゃない。
山南さんが、いなくなったことで、今までの未来図が、変わりつつある。
近藤慎吾ちゃんも、土方さんも。
自らの手で、自分の片腕を、山南という片腕を、もいでしまった。

泣いている場合じゃない。
自分達が進むべき道を、しっかりと見つめなさい。。

もう、山南さんは、なんのアドバイスも、してくれない。
草葉の陰から、あなた達を見守ってくれているだけなんだから。
山南総長のためにも、がんばらなきゃ。


だから、山南さんに、さようならを。
さようならを、言わなくちゃね。

”ほんま?” ”ほんまや”



追伸

差し出されたお団子に、そのまま顔を近づけて、むぎゅっと食べる。

些細な映像なのに、かなり興奮した。いやーん(うふっ)



追伸2

そんな、らぶらぶ映像の後、沖田君!!

目をつぶった瞬間に、決意していたことを思い出し、心を入れ替える。
見ているほうが、置いていかれてしまう。
もう少しだけ、幸せな時間を、と、願っているのに、
山南堺さんは、どんどん、先へと進んでしまう。
死を決意した人を引き止めることは、誰にも出来ないのだ。
ちょっとだけ、堺さんを、うらんでしまったぜ。がうーっ。


追伸3

”わがままを、言うな!!”

出来ない約束をする山南さん。それは、せめてもの、やさしさ。
でも、女には、いてくれることが、やさしさだと思うよ。
やさしいけど。でも、ひどい男だね、山南さんは。



追伸4

明里との、最後の別れは、山南さんの閉める、障子。

ゆっくりと、でも、確実に。

最期に見える、山南さんの優しい目。
とてもじゃないけど、言葉になんかできやしない。



追伸5

刃の状態を確かめるため、斜めにかざす。

すっと伸ばされた手の先を見る、山南さん。
死の寸前、冷静に、流し目。

その瞬間、あっ! っと、思う。
死を覚悟した人の動作は、本当に怖い。



追伸6

”声をかけますので”

そんな冷静さが、切腹状態も続く、山南さん。
堺さんも、息を止めているのか、だんだん、上半身が、赤く染まる。

ぜんぜん、手元は見えないけど。
でも、堺さんは、かなりの力で、刀を持っているはず。

ひたいの血管が、どんどん、太くなって。
その演技の間、強烈に集中して、そして冷静に計算をして。


お疲れ様でした、堺さん。
こんなにすばらしい役者さんに出会えるとは、思っていもいませんでした。
また、ぜひ、次の作品で、お会いしましょう。


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