2006年06月20日(火) |
デスノート観てきました |
映画「デスノート」観ました。
以下の文章は映画のネタばれを含みますので、見たくない方はご注意を。
映画中盤あたりから、つくづく思ったことは 「デスノート」ってやっぱり漫画なんだなあ、ということです。 もちろん、漫画を馬鹿にしているわけではなく、「デスノート」は漫画だからこそ面白かった作品なのだということです。 漫画をそのまま映画にしてしまうと…予想はしていたものの、驚くほどチープ。この、胸がこそばゆい感じ!前半はまだそれほどでもなかったんですが、後半に至ってはもうよれよれ。
前半の時点では、「もうちょっと上手くやれば、もう少しサマになるんじゃないかなあ。もっとハッタリ効かせて、演出で盛り上げて…」なんて思ってたんですよ。やっぱりフジの方がよかったんじゃね?とか。 月のキャラクターを原作より普通っぽくしているのも、まあ原作のアレをあの通りやると、ほんとギャグ一歩手前になっちゃうからなっていうか原作の時点で既にそういう読み方をしている読者は星の数なわけだし…(わたし含む)ということで、「デスノート」という作品を海外公開も視野に入れたメジャー向けの作品として成立させるためのアレンジとしては、納得がいってたんです。最初はね。
でもなんかなあ。違うんよ。藤原竜也くんは好きでも嫌いでもないんだけど、映画の月には魅力がない。 原作の序盤では、Lや警察との戦いで月が勝っていくのをドキドキしながら読者は見守っていたと思うんですね。月が正義か否かに関わらず、物語のドキドキとして月を応援して、うまくやればやった!みたいな快感を読者は共有できていたと思う。 最後まで観てつくづく感じたけど、映画の月にはそういう快感をまったく感じない。ただの一人勝ちのずるい奴、ってイメージしか抱けない。特にデスノートの最後の使い方、「あれやったら何でもできんじゃん」ていう禁じ手に思えて仕方がなくて、なんかLがかわいそうになってくるんだよね。Lが正しいのに。月の方は最初から圧倒的に有利すぎて、天才がやってるからうまくいってるようにも見えない。 幼なじみの詩織を殺したのも、原作の月がやればエピソードとして締まったんだろうけど、映画版ではただの残酷な小悪党にしか見えなくて、映画を見続けるのが辛くなりました… 幼稚幼稚と映画の中でも言われていて、また原作の月も確かに幼稚なんだけど、映画の方はそれが際立ってて、「新世界の神になる」というカリスマ性は微塵も感じられず(実際その台詞もなかったような?)本当に、子供がヤバいもん拾っちゃって邪魔な奴は全部殺しちゃうゾ!みたいな軽さしか感じられないのね。これだと本当にただの悪役にしか見えない… 原作の月は、やってることの善悪はともかく、漫画のキャラクター、主人公として非常に魅力的な人物だったことは確か。私も月がとても好きだし、良いキャラクターだと思います。 それに対して映画の月というキャラクターはせいぜい、二時間ドラマに出てくる「頭がいい」って設定の悪役…程度のものにしか感じられませんでした。
後編も観るんだろうけど、それはどういう結末を迎えるかという興味だけであって、映画が観たいから観にいくのでは決してないなあ… 映画全体として観ても、エピソードの薄さが気になる。なんか、時間ばっかりかかってなんにも進んでないみたい。前後編に分けるんだったら、一回分の鑑賞料金半額にしてほしいよと思ったほどです。内容的にはせいぜい二時間ドラマスペシャルのクオリティ。いったいどこに金かけてんだか謎。 中途半端に原作をなぞるくらいだったら、アイデアだけもらって根本的に練り直して(逆に主人公を子供にしちゃうとかね)完全に違う作品を作った方が面白かったような気がするなあ…それこそ、日本舞台じゃなくて外国にしたり。 原作「デスノート」は漫画であり、小畑さんの絵と演出力があるからこそエンターテイメントとして面白く成立しているのであって、実写でそれをなぞってしまうとあまりに説得力がなさすぎる。Lの説明なんてほんと失笑ものでした。 また、スタッフロールのあとのおまけもなあ…最後に「デストート」なんてくだらん駄洒落を見せられて、前売り買う気も失せましたよ。
原作は、既存の漫画から突き抜けた個性、無軌道感、それゆえの魅力が強く感じられた作品だったと思います。 でも、映画「デスノート」にはそういう突き抜けた爽快感はなく、ちまちまと原作の要素をつぎ当てたアラの目立つハリボテ細工のよう。原作をなぞればどうしたってチープになるというのはわかるんだけど、それをどうにか演出でフォローできなかったのかなあ…やっぱり日テレていうのがあのこじんまり感の根っこのような気が。デスノのいい意味での無茶苦茶感を、映画ならではの手法で見てみたかったです。 でも、そうするとメジャー向けにはならないな。
以下雑感
・Lは結構頑張ってたと思います。でも眉毛はほしかった… ・私の使ってるモニタ、Lとお揃い!!お揃い!! ・粧裕カワイイ ・ミサもかわいかったけど、あのラッピングバス、もうちょっとさあ… ああいうタレントいそうだなーと思った ・オリジナルキャラの詩織も使い方としては上手かったけど、それを帳消しにしてあまりある後半のぐだぐだ感 ・局長は最初カッコいいと思ったけど親ばかっぷりが出てしまって興ざめ ・局長がLに対してキツいのがなんか見てて辛かった。もうちょっと丁寧な言葉使いしてよパパン ・松田の人は国分太一に似てると思った(髪のせい?) ・茂樹カワイイ ・瀬戸朝香老けたなあ…(*こういうことを言い始めるとババアになった証拠) ・Lは良いけど見せ場が少なかったのが不満。みんなに責められてカワイソウ。なんか発言力低!って感じ。場所も資金も提供しているはずなのに…局長偉そうすぎるよ…
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映画を観て帰って来て、テレビをつけたら 山口の母子殺人事件の報道が。 見ていてものすごく苦しくなり、頭がくらくらした。
月はたぶん、当時18才だった犯人の彼の名前を、何の躊躇もなく書くんだろうな。
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