冬の日 ユーリノルシュテンさん |
ラピュタ阿佐ヶ谷で「冬の日」を公開しています。 松尾芭蕉の冬の日という連歌をモチーフに、 世界のアニメーターを集めて一句ごとにリレーアニメを作るという試み。 俳句のように簡潔で、味わい深い短編アニメが次々と現れるのです。最初は「狂句木枯しの身は竹斎に似たるかな」から始まる連歌はこの企画の発案者、ユーリノルシュテン(ロシア)さんの作品から始まり、頭山の山村浩二さん、そして人形劇三国志(NHKでやってました)などの人形アニメで有名な川本喜八郎さんで終わるリレー。夢の競演です。 解釈が現代人には難しい俳句を様々な視点で描くという所でとても興味深いです。 俳句がとても身近に感じられるし、こんなに面白い事を考えられる日本人がいたんだなあと、日本が余計に好きになれます(笑)。 アニメ作品自体は外国の作家さんのほうが好みでしたけど、様々な手法や解釈を見ることができるだけでも刺激になる作品でした。作品の最後に作家さんごとのインタビューもあってなかなか楽しかったです。
*連句とは・・・ 前の人の読んだ句を次の歌人が前の人の下の句を受けてさらに自分の句をつなぐ事で新しい句を生み出すというしりとり的な手法の形式の句。
*狂句木枯しの身は竹斎に似たるかな
*狂句木枯しの身は竹斎に似たるかな たそやとはしる笠の山茶花
*たそやとはしる笠の山茶花 有明の主水に酒屋をつくらせて
という感じで、下につけるだけで句の印象がガラリと変ってしまうコラボ的試みなのです。とても楽しいです。
興味のある方はご覧下さい 「冬の日」(リンクデス)
先月から今月上旬までラピュタアニメーションフェスティバルをやっていましたが、その期間の中ごろ(11月29日だったと思う・・・・)に ユーリノルシュテンさんのワークショップが開催されたのです。「冬の日はこうして作られた」という題で。 ユーリさんは作品にどのくらい思いをこめて作っているか、作品を作る時の心がまえなんかを語っていました。 自分で題材を決めた時、最初にそのディティールを学んで忘れてしまう、そして自分の伝えたい事を見失わないようにする。と語っていましたが、 詳細を自分のものにして自然なものにしてしまえば忘れてしまってかまわない、伝えたい事を大事にするというノルシュテン氏の考えになんか感銘を受けました。表現としてとても自然な事でこれは凄い気がする。不自然じゃない表現というのは難しいと思うから。 作品はまさに日本のものでしたし、自分のものにして表現したい事を伝えているというあの作品は何かカラリとして重い心に残るものでした。 ノルシュテンの氏の作品では「霧の中のハリネズミ」が好きな私は、会場でその絵本を買っていたのですが、そこにノルシュテン氏が無造作にたたずんでいるので、サインを頂いてしまいました。あわわわ。 握手もしたのですが、分厚くて暖かい手でした、物を作っている人の手はこんな感じなのでしょうか。 あとワークショップ中に絵を描いていたのですが、凄い早さでした。物の形の捉え方が上手いし、やわらかい曲線にはっとしました。あとユーリ氏が「いい顔マニア」なのがなんか可愛かったです。
ともかく他にもミラクルなことがあったりしてこのワークショップの日はときめきまくりなのでした(結構前のことなんですけどね)。
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2003年12月20日(土)
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