「人間」菅井優児
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2002年10月05日(土) 入院生活十二日目

午前5時に目を覚まし、起床の放送を待っている。
そして午前中の処置回診を心待ちにしている。
心ここにあらすかボケのままおにぎりを2つ食べる。
そしてその時が来るまで俺は心を無にして待った。

俺は石だ。石だ。軽石だ。そういや軽石って最近見ないな、邪念が入った時、

コンコン。「回診でーす」
執刀医、担当医、看護婦etcがわらわらと入ってくる。

「調子はどうですか?」
「もう最高なので(管を)抜いてください」

はっはっはっと笑いあうドクター達。きゃつらは何を笑うとんじゃ。殺すぞ。

「また後で抜きに来るから」

と担当医になだめられ、ドアを閉められる。

そしてまた心を風呂場の隅にうち捨てられた軽石のようにして、その時を待つ。

30分後、担当医が「お待たせ」と入ってくる。
傷口に血がたまらないように入れてあったチューブを抜く。
痛くはないが、気持ち良くもない。
そして背中の痛みが手術で切開したところだとその時初めて認識した。

点滴は今日の夕方までと聞いていたので、諦めてはいたが、
もう1本の排出する管はセンセ?
と女郎っぽく聞くと、

「それはまた後で」と一蹴。

またそれから30分後、看護婦が来て、尿管を抜いてくれた。
できればもう2度と味わいたくない痛み。
そして思い出したくもないが、書いては思い出し、またこの日記を読み返してはのたうち回る。
ぞぞぞんぞん。

何はともあれ管は抜けた。これで自由に動ける。点滴はまだだが。

2日ぶりに立つ。起き上がるときに背中が痛む。それでもよろけることなく立った。
まっさきに喫煙所へ。火をつけて吸い込む。
脳細胞がプチプチと音を立てて死んでいく。少し頭がクラクラする。
初めてタバコを吸った時の感覚が蘇ってくる。

昼過ぎに両親がやってくる。ババロアを食す。

15時過ぎに某バンドのボーカル2名が見舞いに来てくれる。
花をもらったが、名前は忘れた。イカの子供のような沢山ついてる。
差し入れの抹茶プリンを食す。

夕食を食べ、TVを観て、就寝、のつもりが全然寝れなかった。


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