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(オレ、今いいこと言った)



2004年09月13日(月) 村映画総評

小さな小さなリルル村では、村の外にはゴロニャンという恐ろしい怪物がいると言われていました。でも、好奇心いっぱいの子供たちは、村の外に冒険に行きたくてたまりません。しかし、ある日、子供たちの優しいお兄さんリュックマンがゴロニャンに食べられてしまったというのです。ところが子供たちは恐がるどころか逆にゴロニャンに復讐を誓います。そして、ついに判明した真相は……怪物ゴロニャンは村長たちのお芝居でした。リルル村の人々はリルル星から地球に漂着した小人型宇宙人で、子供たちが危険な外界に出ないように怪物の話で恐がらせていたのでした……。

というのは80年代の傑作メルヘン・アニメ『とんがり帽子のメモル』の第二話(脚本は雪室俊一)。
何でそんな昔のアニメの話をしたのかって?

今日、封切られたあるアメリカ映画を観た人なら、わかるでしょう。










20年も前の幼児向け30分アニメの1エピソードで充分な話を
製作費60億円もかけて二時間近いハリウッド映画にして、
入場料1800円も取るなよ!
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/



M・ナイト・シャマランの『ザ・ヴィレッジ』をこれから観ようと思ってる人は、

くれぐれもレイ・ブラッドベリの『10月はたそがれの国』を読まないように。

読んだ人は忘れるように。



あ、特に『びっくり箱』はダメだ!
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/



M・ナイト・シャマラン監督の新作『ザ・ヴィレッジ』The Villageを観た。

19世紀アメリカ東部の村(ヴィレッジ)。その村を囲む森には怪物が住み、時たま家畜を襲っていた。そのため、人々は村から決して外に出ずに自給自足で暮らしていた。しかし、ある事件で、一人の若者が結界の外に出る決心をする。シャマランの『シックス・センス』は『恐怖の足跡』Carnival of Souls(61年)にヒントを得ていると思われる(『ゾンゲリア』にもおそらく影響されている)。

『アンブレイカブル』は『墜落大空港』Survivorと発端部が酷似している。

『サイン』はヒッチコックの『鳥』の状況設定と演出をそのまま使っていた。

で、今回の『ヴィレッジ』はどうかといえば。

××××・××××監督のテレビ邦題『×××××』(58年)を19世紀アメリカに置き換えただけ、まったく置き換えた「だけ」の映画だった(しかもオチはスケールダウンしている)。オイラは実は、この『ヴィレッジ』のプロットが発表された時点で「これって『×××××』じゃないの?」と思って、あちこちに書いていたのだが、まさか、本当にそのまんまとは驚いたね。これって著作権的にどうよ? ここまで同じだと盗作の範疇に入ると思う。偶然というにはあまりに似すぎてるし、それに過去4作品がどれも既成の映画と類似していたことを考えると、偶然とは思えない。

(ちなみにアメリカでは、特許や著作権においては類似しているアイデアが先にある場合、たとえ偶然であっても何らかの対価を支払う場合が多い)

でも、裁判にはならないだろうなあ。

まず、その映画『×××××』はあまりにも有名な××××××××の大ヒット作『××××』にもアイデアが流用され、それは当時から指摘されたが裁判になっていない。その理由は『×××××』を作った××××・××××がパクリと二番煎じで×本くらい映画を作っている男なので、他人のことを言えないからだ、と言われている。

それはさておき、『ヴィレッジ』のアメリカでの評判は悪い。

全米の印刷メディアに出た批評をチャートで示すサイトRottentomatoによると、

http://www.rottentomatoes.com/m/village/

全批評のうち、57パーセントがこの映画を嫌っている。

そのなかからアメリカで最も権威のある映画批評家ロジャー・エバートがシカゴ・サン・タイムズ紙に書いた『ヴィレッジ』評を引用しよう。エバートはピュリッツァー賞を受賞した唯一の映画批評家で、なおかつラス・メイヤー映画の脚本家でもあり、ゲテモノ映画には理解がある(平成『ガメラ』をいち早く絶賛した人でもある)。

最後についに秘密が暴かれる。このオチを「アンチクライマックス」と呼ぶ人がいるかもしれないが、それは「クライマックス」という言葉への侮辱であるだけでなく、「アンチ」という接頭語にすら失礼だ。この映画の秘密はあまりに安っぽくて「夢オチ」とハシゴ一段ほどしか違わない。あまりにひねりがないので、実際、観客はこのオチを見ると見なかったことにして、映画を巻き戻したくなるだろう。ついでにもっともっと巻き戻して、巻き戻そう。映画が始まる前、席から逆回転で立ち上がり、後ろ向きで歩いて映画館を出て、エレベーターでキップ売り場に戻って、レジスターからお札が飛び出して財布に戻るまで。

えらい言われようだなあ(笑)。ちなみにアン・リーの『ハルク』は明らかにトビー・フーパーの『スポンティニアス・コンバッション』から基本プロットを盗用していたのだが、日本の批評家でそれに気づいたのは他には樋口泰人さんだけだった。まあ、フーパーとか『×××××』観てても威張れないけど、批評家があまりに映画観てないから、こういうカンニングが横行するんだよ。でも、わかっちゃった人も、それをコメントに書き込まないでください。他の人に悪いので
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/



気分転換に外出して、M・ナイト・シャマラン監督「ヴィレッジ」(2004)を見る。

 わりとおもしろかったな。ネタは見る前からわかったけど、サプライズ・エンディングはとりあえず楽しめるってことだろう。「もっとひねりなさーい」(嘉門達夫)とは思ったが、「中学生感覚」(町山智浩)だから、しかたない。なお、大森望さんが「新本格」とおっしゃるのは、たぶん「障害者の使い方があざとい」からでしょう。
 盗作疑惑については、わたしもパクリ専門なので、特にどうでもいいと思う。町山智浩氏はblog日記で類似する前例を三つほどあげてらっしゃるが、裏を返せば、誰でも思いつくネタってことじゃないかな。

 こういう話は低予算で無名俳優を使ってもそれなりにおもしろくするためのものだと思っていたが、莫大な予算をかけて撮るあたりが、シャマランの独創か。
 しかも、「サイン」(2002)同様、どこに金をかけたのかさっぱりわからない。高級食材を使っているはずなのに普通のナポリタンの味しかしないという感じ。どう考えても10分の1の予算で撮れると思うんだがなあ。もちろん、その場合はウィリアム・ハートもシガニー・ウィーバーも起用できないだろうが、べつにいらないじゃん。難しい演技してるわけでもないし、服装は地味だし。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/index.html


ふみひこ |MAIL