フィンランド湾のヨット

2007年05月27日(日)  虚構です。または、愛の生活。

週末の夜が、夜だけが真に自分にとって自由な時間であるような気がして、次の日のことを、あるいは早起きして得られるもののことを、全く思わないわけではないのだけれど、あと少しあと少しとどうしても夜更かしをしてしまうのは、このまま時の流れをとめてしまいたいと思っているのかもしれない、単純に夜が好きなだけかもしれないと思いつつ、じょじょに明るんでくる空の色を見ていると、学生のころ生ぬるい朝のバス停で始発のバスが来るのをぼんやりと待っていたときの気持ちが蘇ってくるような、こないような、そうやって朝帰りをした夏の日の朝、誰も居ない食堂のテーブルの上に置かれていた煙草を何の気なしに一本くわえたことが、私のもうすぐ十年になる喫煙の習慣の始まり(の始まり)で、 ―― 結局その後、自分の人生に煙草を吸うという選択肢を加えるかどうか散々悩み検討し決断することになるのだけれど ―― そのとき私はとても好きだった人と別れ際にはじめてくちづけをしたことがかなしくて、だから、あの日あの朝に、私の中で何かひとつの日々が終わったのかもしれないと、そんな風に簡単に区切ってしまいたくなるのだけれど、どこかで、それは非常にくだらない考え方だと気付いてもいて、結局のところ明け方に喫煙する習慣だけが残ったという事実を認めることで、情緒に流れがちなのは私の悪い癖である、日々の習慣に意味など何も無いのだと自分につよく、つよく言い聞かせながら、うがいをして、石鹸で手を洗って、すでに眠っている人の隣で私も少しだけ眠ろうと思う。数時間後にはいつか何の屈託も留保も無い朝の光の中で小鳥のような形をした大きな目が黒い泉のような目が静かにでも大きく開いたように目覚めると思う。愛が。


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