フィンランド湾のヨット

2004年01月23日(金)  虚構です。そして・・・

外に出たら一瞬だけ春の匂いがしたようだった
でもやっぱり厳然と冬だった
素足のままで何時間も夜の中に座っていた高校生のように
家路に着くひと一人一人を見送って
ひとが途切れるのを待って
歩き出すとそれだけで身体が温まるようだった
A書店には深夜一時まで営業とあって
見上げなければ見えない一番上の棚には『薔薇の名前』
買わないけれどまだいまここでは
タクシードライバーがみんな苦労人だなんて思っていないけれど
あのときの歌の歌詞のように見て見ぬ振りをしてくれた
困った顔をしていても犬はやさしい
ドアを開けたら涙はまだ
ぜんぜん枯れていなかった

どうだろう?

うしなっているだろうか
何も思うものがないだろうか
一年前のあの日のように


白い箱のようなもの


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