来歴補助簿
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2008年07月13日(日) 新聞投稿

私が新聞投稿した訳ではありません。

昨日実家に帰って来たところ、我が家の最高顧問(母)が一言 

「タービン船って何?」
意外な質問をされ、まじめに説明しました。なんでそんな質問をするの?と聞いたところ、新聞に「蒸気タービン船を残そう」という、投稿があったよと一言。それを読んだ最高顧問(母)が私に質問したようです。

その投稿の内容は、先日の来歴補助簿(タイトル「北斗丸」)でも書いた内容の、タービン機関の練習船は無くなる事に対してでした。
本文をそのまま載せるとまずいので、要約すると
(7月12日付け朝日新聞14面にその投稿は載っていました)
1.タービンプラントは基礎教育段階の船員に対して効果的であるのでは?
2.財政難の現在において費用対効果ばかり考え、将来的に政策上後悔するのでは?
3.技術の伝承が途切れるのでは?
4.海洋基本法20条に示されているように、国は責任を持って船員育成を実施する必要がある。
という内容です。投稿された方は私も非常にお世話になった、機関長です。

霞ヶ関は独立行政法人に対しては、「ゼロベース・コストカット」が当然であるという考え方みたいですね。もちろんニュースで報道されている通り、無駄な独法はたくさんあると思いますが、教育に対してまでもその考え方を通用させるのは疑問が出てしまいます。教育の成果はすぐに結果(利益)に結びつかず、時間が経ってから結果(損益)が現れますよね。将来的に「ゆとり教育」の様に「失敗だった」と船員教育もならないように願うばかりです。
また理系離れが深刻な状態である中、船員教育が手薄になり船舶機関士になろうと考えている人は、限りなくゼロに近づくのでは?と言う不安が出てしまいます。船舶機関士も「絶滅危惧種」に指定されそうですね。

もう一点「トン数税制」という、船会社向けの税制優遇があるのですが、その税制優遇を受ける船会社は船員を教育する義務が生じます。自社に内定を出している学生に対しては、教育に対する利益が明らかであるので、利益を求める会社としては、手厚い教育を施すと思いますが、それ以外の学生に対しては、ボランティアになってしまうので、会社としては教育を引き受けることはしないと思います。また、「教育設備持っていない・余裕がない」会社の内定学生及び内定の出ていない学生は今まで通り航海訓練所の練習船で教育を受けます。ここで不平等が生じない訳が無いと思います。欧州ではスタンダードな制度らしいですが、企業利益と教育を結びつけた制度も将来的にどのようになるのかは、未知数ですね。

自分は船員教育行政からドロップアウトした人間なので、偉そうな事は決して言えない立場ですが、今後は船員教育行政に対して外側の船員(機関士)として、何らかの形で、バックアップできれば幸いかな?と考えています。

来歴補助簿にしては、まじめな内容を書いてしまいました。偉そうな事を書いていますが、船員教育を深く知っている訳でもなく、制度に精通している訳でも無いので、間違いを書いているかもしれません。その点はご容赦下さい。


えぐちかずほ |MAILHomePage

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