コハルビヨリ
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あなたが、泣いた。
「俺は滅多なことじゃ泣かない。」
本や映画でも泣くことはないし、 私が泣いているときも、 そのことであなたがつらい思いをしていたであろうときも 泣かなかったのに。
たぶん、泣けない、というのがほんとだろう。
でもそんなあなたが泣いた。 死んでしまった女の子の話をして。
だいぶ年下のその子を女の子として好きとか付き合ってたとか 恋愛対象ってわけじゃなかったけど、大切だったのはわかる。
3年前に亡くなったその子から 最後に来たメールに返事をしなかったことを 彼は今も後悔している。
その子は私も会ったことがあるしちいさくてかわいい子だった。 やきもちを妬くような話でもない。
でも あなたが泣くなんて。
「きみの前では泣いたりできるんだな。」
その言葉は嬉しいけれど。
まだ私が知らないあなたがいる。
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