コハルビヨリ
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彼が帰った。 お見送りのときにすこし泣いた。 彼はいつも「泣くなよー笑って離れようよ」 というのでガマンした。
最近離れるときにも友達が一緒にいたり それは彼のとこから帰ってくることが多かったから 泣いて別れることもそんなになかったんだけど。
久しぶりにものすごくさみしくて、 彼が部屋を出て行ってからは(こう書くと別れたみたいだ) なんだかぽっかり。
彼が使ったタオルとかタバコの吸殻とか パイナップルの缶詰とか いつもの位置から彼が動かしてそのままのシャンプーだとか すべてが愛しく思えるくらいにまいってしまった。
彼が帰ったらまた日常に戻らなきゃと 彼がいるときから思っていたので、 いっそのこと一泊二日でも実家に帰ろうとも思ったけど バスと道路の混雑と交通費を思うと身動き取れなかった。
外に出なきゃとか誰かと遊びに行こうとかも思ったけど この部屋から出るのはなんだかできなくて。 今日くらい彼の香りにひたって過ごそうと決めて。 それに、誰に会っても泣いてしまいそうだった。 彼以外の人に会ってもだめなんだなと。
ひとまずご飯を食べて(彼が作ったスープの残りとか) なんだか味がわからない感じで 彼が来てから変わった定位置でごろんとなって
やっとおもいきり泣いた。
彼がちょっと暇つぶしに読んでた恋愛もののマンガを 20巻くらい全部読み返して、 読みながら何回かぼろぼろ泣いて、 マンガの力を借りて泣いて泣いて。 やっとすこし気が済んで。
彼が「着いた」と電話をくれたのだけれど なんだかもう胸がいっぱいになってしまって ちょっとでも『さみしい』なんていったら 大泣きしてしまいそうで、声が小さくなって。
「どうしたんだよ。さみしいのか?」
ほんとにもうだめでいっぱい話したいけどうまく話せなくて (彼の車にはあのお姉さんもいたし)はやめにきりあげた。 おやすみを言われてしまったので今日はもうかかってこない。
なんでこんなに好きなんだろうなあ。 もう出会って3年近い。
前の遠恋みたいに状況に酔うこともないし 恋に恋しちゃってるわけでもないと思うけど
でも 君の手と声と笑顔としぐさと優しさといじわると はやく会いたくてたまらないんだよ。
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