コハルビヨリ
もくじ|まえ|つぎ
就職したばかりの元彼からの電話。
「勤務地が決まったよ。」
最初はそんな他愛ない話だった。
向こうでなにかあったらしく、またかけなおすから、 と一度切った。
二度目の電話は酔った後にかけてきたようで、声が うわずっていた。
「酔ってるから、俺が話すこと聞き流して。
家に帰ってきてさ、おまえがいたらどんなにいいかと 思うときがあるよ。
3年後までに料理の腕、あげといてよ。」
自分でもいってた。自分から別れをきりだしたのに、 こんなこと言っちゃいけないのはわかってるって。
じゃあなんでいうのよ。ずるいよ。
やっと気持ちに区切りがついて、余裕が出てきたと 思ったのに。
またふりだしに戻っちゃうじゃない。
それまでにいろんな人と付き合って、それでも俺がよかったら もういちどつきあおう、なんて。
自分だってさっさと彼女つくったじゃない。3年後、あなたが 私以外のひとを選ぶかもしれないじゃない。
彼のこと好きなのに、それでも元彼のことばに踊らされてる 自分がばかみたい。
でも、わたしのこと覚えてて、思い出してくれてて嬉しかった んだよ。
今もささいなことで元彼との生活を思い出してしまう私だから。
彼を想う気持ちとは違うところにあるけれど、ただの懐かしさ なのか、ひきずってる恋心なのか。
ほんとに、ふりまわされっぱなしだなあ。
|