陽だまりの ねこだまり
<登場人物紹介&ねこ紹介>

2002年05月05日(日)   チー そのふわふわの毛 その2



乳腺摘出 二度目の手術

このとき肺にも転移しているかもしれない

他の場所にも

そう言われた

お腹の脂肪の部分にも小さい癌細胞があり

脂肪も皮膚も縫合できるぎりぎりまで摘出した

戻ってきたチーは

ものすごくほっそりとしていた

ひとまわり体が小さく見える



手術が終わり 翌日

体液が溜まり チーのお腹は少したるんでいた

獣医に連れて行き 溜まっていた体液を抜いてもらう

飲み薬も貰い 帰る

翌日も通い再び溜まっていた体液を抜く

なかなか手術した傷跡が塞がらない

抜糸予定日も大幅にずれた

溜まる体液の量が徐々に少なくなり

ようやく傷が塞がり

抜糸をした


この後一ヶ月程

チーと一緒に過ごせた

いつもの様にご飯をせがみ 与え

遊んで、ヒザの上に乗ってきて寝て

撫でて、話し掛けて

名前を呼ぶと出てきて足に擦り寄ってくる

痩せてしまったけど

白とオレンジ色の

ふわふわでやわらかい

少し長めのチーの毛

大きくてはっきりとした目

撫でる

撫でる撫でる


一番長い付き合いのねこ

憎たらしくて 生意気で

プライドが高くて


でも

何があっても

傍に居て

あたしをずっと見ていた ねこ


10年だ

長いなぁ・・。




同じ事を何度も考え

繰り返す

あたしはもう 獣医に連れて行きたく なかった






チーがご飯をねだらなくなり

すすめても食べなくなって

3日間

寝ているチーを

ずっと 見ていた




またしてもチーは

通路に寝そべっていた

部屋からキッチンに行く通路

何度言われても そこで寝そべるのをやめない

またぐとき ちょっとでも体に触れると

すぐ怒るくせに


またいで 行く

でもチーは

動かなかった


目を開けて

寝そべったまま

そのまま動かなかった


きらきらして今にも起き上がりそうな

そんな瞳

撫でる手は 分かっていてもやっぱり震える

体はまだ暖かい

そのままヒザの上に抱き上げる


ずるいなぁ

もう少し待っててくれてもいいのに

最後の瞬間ぐらい

看取らせてくれたっていいのに



命在る者と共に生きること

最後はどうなるのか 分かってはいる

分かってはいるけど

やっぱり辛い

辛い キツイ 体も震える



チーが見てきた 10年分の記憶

あたしが見てきた10年分の記憶


時間に流されて薄れていってしまうのも分かってる



この ふわふわの毛も 触るのは最後





市の小動物火葬場

連れて行くときは そのまま

骨は持ち帰らない そう思っていた


でも

鉄板のような板に乗せられて

火葬の炉の中に入れられる瞬間

どうしても そのまま置いて帰るのが嫌で

家に帰って空いているビンを持ってきた


火葬が終わって

真っ白な骨になった

チーの体


骨をひとつひとつ 拾って

ビンに詰める


肋骨の周辺に

黒い炭のような欠片があった


癌細胞なのかな


落として 骨だけを拾う


蓋をして 白いハンカチで包む

家に帰って

タンスの上に

写真とお骨

線香をたてる


まだまだ先のことだと思うけど

べジータ、雷夜、ルーシェ、チー。

仲が良かったから

最後は皆、一緒がいいな

などと勝手な人間の考え(笑)




写真の中のチーは

今日も元気だ














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