こことこユリビビさんとの間で密かなブームのマニキュア。 今更ながら、そのルックス的というよりは精神的な方面への効果の大きさに感心してしまう。 思えば大学に入学してからというもの、マニキュアなどほとんど塗ったことがなかった。 浪人の頃は、爪塗り、化粧、原宿古着散歩あたりが私のささやかなストレス発散であり、唯一のこだわりであり、プライドであったので、 わりかし頻繁にマニキュアは塗り替えていたんだ。 (今こうして「ねいる」と入力すると「寝入る」と変換されてしまう。この事実からしても「ネイルアート」や「マニキュア」だなんて話題にものぼっていなかったことがおわかりだろう。)
今まですっ飛ばしていた雑誌のネイルのページを一寸見てみたりしつつ、マニキュアは色づいた爪先の繊細さと、色を選ぶたのしみが醍醐味なんだと、わかったようなことを呟く。 キレイになった指先が嬉しくて、指輪をハメてくるようになったユリビビさん。 金属アレルギー気味の私はそれは出来ないが、それでもなんだが気分が良くって手の動きひとつひとつが優雅にさえ感じてしまう。 嗚呼、春思う年頃の少女じゃあるまいし、今頃そんなことに目覚める少々無頓着過ぎた大人たち!
すっかり気分を良くし、この先ずっと爪を塗り続けていくつもりでいるこの単純な大人は、 色のレパートリーは多ければ多いほどいいだろうということで、当時のマニキュアを引っ張り出してみた。 浪人時代や高校時代のものばかりなので、ほとんど固まってしまい使いものになりそうもなかったが、 それ以前に色の趣味が当時と全く変わってしまっていたので、今は全然塗る気にもならない色達ばかりだった。 引出しのなかには、 キミドリ、緑、パープル、みずいろ、赤、ピンク、帆立貝の裏側のような光沢のホワイト… そして、ラメが散ってゐる! あっ、蝶のネイルシールまである! なんだろうこれは。 徳川埋蔵金なのか、それともカリブの海賊の仕業か!! 想像が膨らみ過ぎましたが、それほど私にとって衝撃的であった。 季節的なこともあるだろうが、今私の目にとまるのは、ブラウン、ベージュ、紺などダークな色ばかり。 引出しのなかで宝石のように輝く、使えないネイルエナメル。 ラメのキラめきは、若さのキラめき。
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