2002年10月26日(土) |
正直さゆえの、残酷… |
先日、リトミックの父兄との面談…たかがリトミックで面談?と思われるかもしれませんが、私のポリシーとして、どんな子でも、受け入れていきたいと思っているので、特にそのグループは、ハンディーを持つ子どもたちもたくさん来ています。
そのグループだけではないのですが、時間の許す限り、ひとりひとりの父兄の方から話しを聞いて、お子さんの事をできるだけ詳しく把握しておきたい。どうすれば週1回1時間のおけいこを有意義に過ごしてもらえるかどうか、また、ハンディーの有る無し関わらず、子供の成長や、個性…、本当に個人差が大きいので、一人一人の反応や、ご意見をできるだけ伺いたいという趣旨で、面談をやっています。
そして、その日の面談は、兄弟3人を通わせてくれているAさんとの面談でした。
その3人の兄弟は、長男のB君がハンディーがあります。次男のC君、3番目は長女のDちゃん。。。
Aさん家族とはもう2年目、リトミックでご一緒しています。今年の面談で特に気になったことは、次男のC君でした。学校で、お兄ちゃんのB君の悪口をクラスのお友達に言われていたらしく、新学期(4月か、5月頃)から、孤立しクラスの子たちと一緒に遊べなくなっていた、ということでした。
しかも、この事は「誰にも言わないで!」と仲良しの1学年上の男の子にだけ、C君は話をしていたようです。
そうしてその男の子も、C君の様子が心配になり、ようやく自分のお母さんに話し、そのお母さんが教えて下さるまで、原因が分からなかったのです。
近ごろ、C君はチックが出るようになっていたので、「なぜだろう?」と思っていたのです。おけいこでも、お母さんに時々たずねていたのですが、 「解らないんです…。」ということでした。。。
C君は、兄弟思いで、兄のB君の事もいつも助け、妹のDちゃんの世話もよくやいていました。本当に優しい子なのです。
お母さんもついついC君に頼ったり、「自分でやってね。」と、彼に早い自立を求めてしまっていたと、反省なさっていました。また、B君とは違って、「出来て当たり前」という姿勢だったとも、おっしゃっていました。
でも、何かにつけC君の事も甘えさせてあげる場面もみることがあったので、家庭内での心配は、今まであまりなかったのです。
子供というのは、時に正直にものを言うので、残酷です。C君にとっては大好きなB君だし、B君はいつもにこにこして、人との争い事を嫌います。少々引っ込み思案だったりするときも、C君はよく励まし、手を引っぱっては、リトミックでも参加していました。B君は何も悪くない、ましてや、C君が悪口を言われる筋のことでもない。。。
それでも、C君は何も言い返さず、黙って聞いているだけだったという事です。小さいのに、じっと自分の胸にしまい込んで、お母さんにも言わず、我慢していたのです。
C君は、リトミックでは、思いっきり弾けて、大騒ぎするのです。私がそれを面白がるので、彼はリトミックでは思いっきり、私に対してわがままでした。
でも、そうするには、きっと何かあると思い、させたいようにさせて、時には抱っこしたりしていました。口では「やめろよ〜」と言うのですが、手を振り払うことはなく、ずっと気持ちよさそうに、抱っこされていました…。
今までずっと「3人一緒に、同じことをさせる」ことが、お母さんの考えだったようです。でも、C君には、そろそろ彼の、彼だけの世界も必要だと、申し上げました。
3人一緒に、支え合って助け合うことを学ぶ機会は、小さい頃から他の人よりもたくさんあったと思うのです。また3人一緒だと、どうしてもC君が一番我慢をしてしまうのです、優しいから…。
でも、一人一人、違う人間だし、一人一人成長の度合いだって違うのが、当たり前。C君だけの「何か」したい事を、させてあげて欲しいと、お母さんに申し上げました。
C君のように優しい子もいれば、いじわるを言う残酷な子もいる…。両方持ちあわせているのが人間でしょう。でもその現れ方が違うのは、なぜでしょう?
C君は、大好きな「お母さんやB君が悲しむから、言わないでね。」と言ったということです。。。小さいのに、いろんな感情を押し隠していたかと思うと、たまりません。。。
いじわるを言った子は、本当のことでも言っても良いことと、悪いことがあるのを、学んでくれたでしょうか…。悲しみ知る人は、優しい人になると聞いたことがありますが。。。
C君たちのために、私に何が出来るでしょうか?……「何か」をしなければなりません。
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