| 2004年07月02日(金) |
ねむの木/がらんどう |
仕事に行くまでの道に、 ねむの木たくさんがある。 深くなった緑色に映える、 夏らしい華やかな、無邪気なぴんく色。
ねむの木は、私の記憶の中でも 古いほうの記憶。 保育園に上がる前の頃、 高校の裏山の上にあるテニスコート、 そこへ上る坂道の途中に、ねむの木があった。 おかーさんが、ねむの木の葉っぱを撫でると 葉っぱが重なり合わさるように閉じるんだよ、 とおしえてくれた記憶。 あんなに昔から私はねむの木を知ってるよ。
足の裏の埃の感触。 夢ではないほど、積もった埃は、 暗い中、舞い上がりもしない。 何もなくなって、 あの部屋は、がらんどう。 この胸の真ん中へんの感覚と、 同じようなもの。 あまりにすばらしく分かりやすい現実と、 シールのようにぴったり、 体全体にひっついた変えられない運命めいたもの、 その他いろんなものがめくるめいて、 越えていくしかないんだと、 すぐ知り得た。 答えまで、哀しいほど、直結。 でも私はまだ戻れると思ってたみたい、 どこかで。 まだどこかに探してたし、 いつもこの街を見下ろすときは、 まだ夢見てたのかな。 もう私は、これから二度と出会えない 愛おしさのかたまりを、 ほんとうに見失ってしまって、 いまさら、途方にくれる。 やり直したいのは、唯これだけ。
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