気まぐれ台風のせいで、日暮れが早い。 久しぶりに仕事が遅く終わって、 ラシーンはハイビームで駆け抜ける。
海沿いを通ると見えた景色は。 闇はほっこり、靄に包まれてぼやける水平線、 その向こうの世界に秘密を隠すみたいに。 海の上すれすれまで立ち込めた台風の気配が 遠くまで拡がって、どきどきするかんじ。 ひとりそこへと船を向かわせるとすれば、 どんなに不安だろう。 どんなに好奇心かきたてられるだろう。
かつて少年少女だったころ、 いつか自分も旅に出ると信じて止まなかった。 見えない向こうはこわい、だから旅立ちたい。 そんな気持ちを思い出したのでした。 制約の無い若き思想は強くしなやかである。
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