カンラン 覧|←過|未→ |
小さい頃に私が住んでたあたり,線路沿い。 見上げると上の方が手前に迫ってきてずりっと落っこちてきそうな古い外壁。 装飾が施された とは言い難いがっしり格子のはまった窓。 ほの暗い店内。 電車の中から見ていただけのお店に今日,とうとう入ってみる。 広い店内には東西に2台のテレビ。 ひとつはNHKのど自慢で,もうひとつは競馬中継。 ふたつの音声がちょうど混じりあうあたりの窓際に座って メニュウとにらめっこした末に 黒ごまきなこトーストとアイスレモンティーを頼む。 私の向かいに座った人は, 創業以来50年変わらぬ味のミルク・セーキとカレーライスを頼んでいる。 結構な取り合わせだ と思いながら ストローから吸ったアイスティーの甘さにびっくりする。 加糖されたアイスティーって懐かしい。 昔はこれぐらい甘いのじゃないと飲めなかったっけ。 暗い店内の薄汚れた大きな窓から眺める外の世界は明るかった。 こんなどんより曇ったお昼でも。 がしゃんがしゃんと鳴り響くレジスターの音が心地よい日曜の午後。
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