また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)

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2004年09月24日(金) 高遠さんの会見

イラクで人質になった高遠さんら3人がそろって記者会見をしたらしい。
インターネットニュースでちょこっと画像を見ただけなので、
彼らがどういう状態なのかはよくわからないけど、
先日購入した家族機能研究所発行の日本嗜癖行動学会誌
「アディクションと家族 - 特集『引きこもり依存症』」(Vol.21 No.1)
の編集後記の中で、彼らが帰国した際に診察をした斉藤学医師が書いている文章を引用、掲載したい。


〈引用開始〉

 ここ数日、イラクの人質解放の件で忙殺された。帰国した人質三人を悪意あるマスコミの攻勢から守りたいから協力してくれと頼まれたとき、なぜ、そんなことになってしまうのかと驚いた。このようなことがあれば普通、家族は喜び、よそ事ながら心配していた国民たちはホッとし、政府の尽力(そうしたものがあったと信じたいが)に拍手ということになるはずなのに、「自己責任をどう考えるか」と犠牲者たちに問いただそうとするマスコミの人々から逃れることをまず考えなければならないとは。
 
 私が依頼されたのは3人を診断した上で、ドバイのアメリカ病院が診断したPTSDの診断が妥当であることを明確にしてほしいということだった。診察はするが、診断は私の方で勝手にやらせてもらうと私は主張した。羽田空港のVIPルームであった三人はそれぞれ健康上の問題を抱えていた。精神医学的な問題の前に身体的問題がひどくて、頻脈と血圧上昇、食欲不振、下痢、じんましんなどが見られた。こんな状態でカメラのフラッシュの嵐や悪意の質問に応じていたら、循環不全でも起こしかねない。とりあえず急性ストレス障害と診断して、当夜の記者会見は無理と判断した。

 解放された三人はムジャヒディン以上にマスコミを怖れている。そのマスコミは「お茶の間で楽しむ吊るし上げ」を待ちかまえている視聴者という猛獣たちに一瞬の餌を投げたいだけなのだ。私たちは恐ろしい世界にいる。(斉藤学)


倉田三平 |MAILHomePage

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