夕飯の支度をしていた時のこと。

突然、
「あたらしーの、たべたいな〜。」
とみのり。

どうやら、棚の上の私の薬袋のあたりを指差して言っているらしい。

『なに・・・？私の薬が欲しいわけないし・・・前、あそこから‘たべっこ動物‘出したの知ってるから、何かお菓子を出して欲しいってことなのかな？？』

・・・と思いながらも、私の薬袋を取ってあげた。

「ハイ。」
と渡す。

「ちがうよ〜！！」
と怒り出すみのりを想像していたけど、意外にもアッサリそれを受け取った。

よくわかんないけど、本当に薬袋が欲しかったらしい。

しばらく腕に下げて遊んでいたけど、
「あけて、あけてー。」
と言うので開けてやると、中からこないだもらってきたばっかりののどの漢方薬を取り出した。

・・・まあいいか・・・と思ってほっといたら、こんどは
「ママー、半分変なっちゃったーー！！変なっちゃったよーおう！！」
と叫ぶので、見ると薬の袋が半分だけななめに開いちゃっていた。

「はいよ。」
ときれいに口をあけてやると、ちらちらとこちらを見ながら居間のほうへ行こうとしている。

はじめは気付かないフリをしてたけど、振り返ったらみのりと目が合った。

すると、なにやら「しな」を作りながら、くねくねして
「ばいば〜い。」
とニヤニヤしながら言っている。

何度もこっちを振り返りながら、
「ばいば〜い。サヨナラ〜。」
と言って居間へ消えていくみのり。

これは・・・この顔は、何かいけないことをたくらんでいる時の顔だ・・・。

これから何をしようとしているか、大体の予想はついていたけど、まあ、漢方薬だし、しばらく様子を見るか・・・。




台所からこっそり覗いてみると、