Dance日記帳
モクジキノウヨクジツ


2007年03月19日(月) 電位差

【step-up】→電圧を上げる(三省堂提供「EXCEED 英和辞典」より)
電圧は電位差。ということで本日のお題。
MDSのメンバーならば、もう何を日記に記そうとしているか当然わかると云うもの。
http://www.stepup-movie.com/index.html(公式サイトPCのみ)

抑も「ストリートダンスとバレエの融合」ということ自体胡散臭い。
身体の使い方もトレーニング方法もリズムも、殆どのメソッドが相反するジャンル。

今まで何本も「史上最高のダンスエンターテイメント」と云う壮大なテーマの映画を観てきたが、ツッコミどころが多すぎてレビューする気も失せるばかり。
バレエをテーマにしている「リトルダンサー」でさえ、多くの方が感涙する横で「はあ?何がどう面白いわけ?どこがどうして感動なわけ?意味不明〜〜〜〜〜」と途中退場をした気持ちを抑えるほうが大変だったりした。
「いいから、もうダンスを題材にする映画はやめてくれー」と路上で署名を集めたくなってしまうほどダンス映画は大嫌いだ。監督や演出の勉強不足や、キャストの練習不足、何もかもが癪に障る。「えーい、ダンスを馬鹿にしてるのかっ!」とスクリーンに向けてコカコーラのスーパーLサイズを投げつけたい気持ちを何度も何度も堪えてきた。

とは言え、「ダンス」と名のつくものについては、すぐに反応してしまうのが性分。
「どうせがっかりするのだろうし、同じ映画代を払うならハッピーフィートのほうが絶対良いと思うんだけどなぁ…」と消極的になりながらも映画館に向かう。
それも当然レイトショーで。
劇場は若い女の子と何故かダンスには全く無関係だろうと思えるオッサンと私の3人。
国際線空路ならばアームレストを全てあげて、ごろ寝状態で満喫できる感じだ。

さて、この作品は先日に公開されたばかり。
まだ観に行ってない方も多いことだろうし、あまりにネタバレしちゃうのも申し訳ない。
観に行くつもりの方は、この先はあまり読まないほうがよろしいでしょう。

正直、まず翻訳が気にくわない。出たよ。出だしからダメだし。
確かにダンス用語を多用しているので、普通にはわからない単語も多いだろうが、「そりゃ全然意味違うってば〜」と思う翻訳の箇所が多くてがっかり。
英語がわかって良かった。
あちこちで「バレエ」と云ってるけれど、正直ほとんどジャズです。はい。
「クラシックバレエ」ではありません。バレエを期待してゆくとがっかりします。
オープニングのところでバレエシーンがたくさん流れて美しいのと、所々レッスン風景や子供のバレエレッスン風景がシーンとして入ってくる程度。
メインキャストが踊るコンビネーションは女性がバレエテクニックを使ったジャズで、男性がストリート(ブレイク系)という感じ。リフティングはいくつか入っているけれど、これもジャズ。バレエでも使うリフトと言えばそうだけれど…。
ジャズを教える先生にとって、あの振付を「バレエ」と言われてしまうと、正直不愉快。
コンテンポラリーでもないし。(コンテのシーンは別に出てきて、これがまた良い振付だった!)
兎に角、ダンスシーンに関しては、良い、です。ボリュームも結構あったし。リハーサル風景が中心というのが私にとっては得点アップにつながったのかもしれません。
途中のライブハウスのユニゾンのシーンもなかなか良い。ダンサーも思った以上に質が良い。

「フェーム」の現代版のような感じで、確かに「中途半端さ」は拭えてないけれども、ストーリーは別としてダンスシーンだけに評価を絞れば80点くらいにはなるでしょうか。
辛口の私がこの評価ですから、なかなかです。

メインロウのスタイルの良さも印象的。脚の美しいダンサーです。ジャズヒールが似合う!

練習シーンについては、どうしても昨日観た「フラガールズ」のドキュメント付録DVDのほうが感動的なので比較してしまう。
「フラガールズ」のドキュメントは見ながら泣いてしまったくらい。自分と重ねる部分が多いのかもしれない。
この映画については、NY留学時代の自分の生活を彷彿させる部分があって懐かしく思ったりもしたのですが、リアリズムに欠ける部分がマイナスなのでしょう。
直前までリハをやらずに、当日の本番前に突然「やっぱり前の振りで!」なんて無理だって!!流石映画。最後の最後で「そうきたかー。あり得ない!」と沈没しそうでした。

さて、気になった方は今週末にでも映画館へ行ってみてご確認くださいませ。


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