Dance日記帳
モクジ|キノウ|ヨクジツ
金曜日、某所に集まる。 この10年近く同じ顔ぶれだ。 カナコ、キミコ、そして私。
2月初旬、久しぶりの舞台が決まった。 そして、このように集まって、決意表明とまではいかないが、互いの意気込みを探る。
多少の脱線を繰り返しながらも、結局は舞台の話をあれこれ相談してゆく。 言うならば、私にとってはこの10年ほど欠かすことのできないスーパーブレーン。 私ひとりだったらば、ひとつしか出ないアイディアも、3人寄れば3倍に膨れる。
「Monieさんの踊りは丁寧だ」 二人から漏れた言葉に照れながらも、嬉しく思った。本心は驚き、否定する。
意識はない。それどころか、私は自分の踊りを決して良いと思ったことが過去に一度もない。 それこそ自分の踊りのダメだしを初めてしまったら、一晩かかっても終わらない。 毎度、舞台のあとの記録ビデオなどを観ては死にたい気分になるのだ。 だというのに、この長い付き合いの二人は否定する私を真面目な顔で言う。 「丁寧だよ」と。 丁寧かは知らない。ただ、いつも、観客を前に踊る時、ありったけの気持ちを込めているのは確かだ。想いが伝わるように、ひとつひとつの動きに心を添わせている。
観客に何かが伝わっているのかどうかは、いつだって疑問詞の侭。 このような賛辞を一緒に踊る仲間から貰えることは、もしかしたら観客から頂く感想以上のものなのかもしれない。 どれほど強力に励まされたことか。 この言葉をずっとこの先、心に刻んでおきたい。
今、また、この仲間たちとともに、舞台を創れることを心から仕合わせに思う。 舞台は刹那。 二度と同じものはない。 此処から、本番までの数ヶ月、厳しい峠を幾つも越えてゆかなければならないだろうが、この仲間たちとなら、暗闇の中も怖じ気づかずに進んで行くことができよう。 今日が正式なスタートの日となるのならば、此処から先、振り向くこともなく真っ直ぐに進んでいくだけだ。
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