くまま 読みの日記
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2006年05月03日(水) 姫子

昨日、掃除に行ってあげられなかった。
日曜に、恵神が生まれる夏以来、初めて部屋ごと水洗いした。
暖かい日が続いていたので、ホットカーペットの電源を、とうとう抜いた。

でも、月曜から、寒かった。
とはいえ、0度を下回るような寒さではないし、気にしつつも、ホットカーペットの電源は入れずにいた。

月曜は、棚の下から姫子が出てきた。
電源を抜いたとはいえ、コンクリートより、箱の中のほうが、暖かいでしょうに、と、笑って話した。

恵神が入り口で姫子を撫でてやると、姫子がよろついた。
嫌な感じがした。

誉(しゅう)が死んだ時・・・やっぱり、撫ぜたら、グラっと体がよろついた。

日曜に、水洗いした部屋に入り込むなり、恵神は床にしゃがみこんで姫子とユンをかまってやっていた。
恵神は猫たちがほんとに好き。
姫子もよく撫ぜてやってくれた。

昨日いかれなかったこと、夜、朝が寒かったことが怖いと思いつつ入った部屋の箱には、姫子がいなかった。
泣き声も、出てくる様子もない。
分かっていたから、棚の下を見るのが、本当に嫌だった。
ごめんね。
食べられなくなっていたから、保温は絶対に必要だったよね・・・・・・・

薄目を開いて、まるで、いつもものぐさして箱から出ないでこちらを見てる姫子、そのままだった。
つぶれた感じもなくて、ほんとに・・・ほんとに、もう動いてくれないなんて、思えない・・・

久々に抱いた姫子は、軽かった。
少し前まで、あんなに丸々してたのに。
ここ1月半ほど、食べなくなってしまった。

マグロを煮てやったらよく食べたので、持ち直してくれると信じてた。
この朝も、煮たマグロを手に、姫子に会いに行ったのに・・・


夜、恵神が寝ている間に、空神にビデオを観ててもらって、パパとお墓を造りに行った。
パパも、家からより近い場所にと、思ってくれていた。

結婚する前、勤めて初めてもらったフルボーナスで、パパにプレゼントした姫子だった。
おっきな目で、よく返事して、1番、パパと私の心を占めていた姫子。

ほんとに、あんまりにもいつものままの可愛い姫子のままで、土に埋めてしまうなんて、信じられなかった。

涙が止まらないまま部屋に帰って、ビデオを観ていた空神の横に座って、
「お墓つくってきたよ」と言うと、空神が、そっと寄り添って、
「元気だしてね」と言ってくれた。

・・・すごくすごくビックリした。
こんなに、なぐさめてくれる言葉があるんだね。

子供のとき、夜中、節ちゃんが1人でソファーでボロボロ泣いていた。
おばあちゃんの旦那が戦争で死んじゃって、その弟のおじいちゃんがおばあちゃんと結婚して、節ちゃんが生まれた。
だから、おじさんとおばさんとは、お父さんが違うんだって。
おばあちゃんが死んじゃった後だったのかなあ・・・
一人ぼっちになっちゃったって、話した。

私は、すっごく困った。
どんな返事や、なぐさめを期待されてるのか。

どうして、私にそんな話をするのか。
私みたいな子供に。
いつもエバって、子供らしくしたことなんかないくせに、
「子供なのに」どうして私に、そんな重たい話をするのか・・・

きっと何も言わなかったような気がする。
だって、このときのことは、未だに、「なんでまだ子供の私に、そんな重たい話をしたのか」、何て言ってほしかったのか、時々、思い出して、重たい気持ちになる出来事だから。

35歳までなやんだ母の出来なかったことを、空神は、簡単に、自然に、してくれた。

「元気だしてね」
それだけで良かったんだね。
それに、多分、どんな返事も期待はされてなかったんだ。
聞いてほしかっただけだったんじゃないかな。
知っていてほしかっただけなんじゃないかな。

空神が2歳くらいの時、いつもあんまり空神をかまわないパパを、ちゃんと好きでいるように、ときどき「パパがいなくて寂しい」と言った。
空神にもそう思っていてほしくて言っていたのに、空神は、そういう母を案じて、
「空神がいるから、寂しくないよ」と、いつも言ってくれていた。

「私達がいるから、寂しくないよ」
あのとき節ちゃんにそういえるほど、私は純じゃなかったし、素直でもなかったね。
でも、そういう気持ちを伝えたかった思いが、いつもあった気がする。
だけど、
「元気だしてね」
それくらい、言えても良かったよね。
ごめんね、節ちゃん。

ありがとう、空神。

さよなら、姫ちゃん。





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