浅田次郎 2017 毎日新聞出版
STORY: 孤児として生まれたが、自力で大学に進学し、大手商社に入社。結婚し、二児の子をもうけ、一人を嫁がせ、孫も生まれ、定年の日を迎えた竹脇正一は、祝賀パーティーの帰り道に地下鉄で倒れ、病院に担ぎ込まれるが…。
感想: 大手商社で定年まで勤め上げた正一は、これから妻とともに旅行でもしようかと思っていたが、祝賀パーティーの帰りに地下鉄で倒れて、意識不明となる。
妻や、娘の婿、同期で社長まで上り詰めた男、同じ施設で育った男などが、それぞれの思いを持って病院に見舞いに訪れる。
しかし、正一は不思議な体験をしていた。次々に現れる女性とともに、食事をしたり、色々な話をしたり…。
それは正一の生まれと関係があるのかもしれなくて…。
死ぬ前は動けなくても声は聞こえるとよく聞く。この話の中でも、正一は妻の声を聞く。しかし、動くことはできないから、正一にその声が届いているかは、妻にはわからない。
物語は正一の死では終わらないし、少し希望を持たせるような終わり方だった。人が死ぬ前にどうなるのか、そして、死後、どこに行くのか、それはわからないけれど、こんな風な世界もあるかもしれないなーと思わせる作品だった。
浅田次郎って地下鉄が好きなのかな? よく作品に登場するような気がする。
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