2018年08月08日(水) |
そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ |
瀬尾まいこ 文藝春秋 2018
STORY: 高校生の優子は父親が3人、母親が2人。名字が3回も変わった。しかし、それぞれの親が愛を注いでくれたので何の問題もなく暮らしていて…。
感想: 優子は3歳のときに母と死別。父は新しい母となる梨花と結婚。3人で幸せな毎日を送っていた。が、ある日、父がブラジルに赴任することが決まり、優子は父とブラジルに行くか、梨花と日本で暮らすかを迫られる。
友達と別れたくないという理由で、梨花と日本に残ることにした優子。父には何度も手紙を書いたが、父から返事が届くことはなかった。
中学生の時に、ピアノを弾きたいと言ったことから、梨花は財産のある男性と結婚。優子はピアノを思う存分弾けるように。しかし、梨花は窮屈な暮らしが合わずに家を出ていってしまう。
そして、次に梨花が結婚したのは、梨花の同級生の男・森宮。いつもおいしい料理を作って優子のよい親になろうとしてくれる。
再び梨花はどこかに消えてしまったけれど、優子は森宮と一緒に生活している。
このような名字が3回も変わった高校生は不幸だと周りは思ってしまうが、優子は全く不幸ではなかった。担任の先生も、優子よりも実の親に育てられている子供のほうが問題があるというのを見抜いたり…。
そして、優子は結婚することになり、そのときに自分の周りの人がどんなに自分を愛して、自分のために考えてくれていたのかを知ることに…。
家族の形は様々で、実の親だからといってうまく行くとも限らない。血が繋がっていても虐待をしたり、傷つけ合ったりする家族もいる。
逆に他人でもお互いに気を使って生きていくほうがうまくいくこともあるのかも。気を使いすぎたりするのはダメだけれどね…。
ま、これは結婚にも当てはまることなのかな?
温かい気持ちになれるよい作品だった。
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