2016年09月13日(火) |
人魚の眠る家 東野圭吾 |
東野圭吾 2015 幻冬舎
STORY: 夫・和昌と離婚を考えていた薫子。そんな矢先に、娘・瑞穂がプールで溺れて意識不明になってしまう。脳死判定を受けて、臓器提供の意思を示すか二人は問われ…。
感想: ある日、祖母といとこと一緒にプールに行き、溺れて意識がなくなってしまう瑞穂。
そのニュースを知った時、両親2人はそれぞれに別居し、ほかに相手がいる状態であった。
その日、久しぶりに会った夫婦に突き付けられたのは、娘が脳死判定を受けて、臓器提供をするかどうかという難問であった。
二人は判定を受けようとするのだが、瑞穂がぴくっと動いたため、やはりこの子は生きていると結論付け、脳死判定を受けず、そのまま介護を続けることにする。
和昌の会社は人工的に脳を補助するような機械を開発する会社で、その中の一つの技術である人工呼吸器をつけずに自発呼吸をさせる機械をつけたり、筋肉を動かすための装置をつけて、筋肉をつけるようにしたりする。
それが功を奏して、普通の寝たきり状態の患者とは思えぬほど健康的な肉体に回復する瑞穂。
だが、脳はすでに死んでおり、改善の余地は認められないというのが医者の見解であった…。
次第に瑞穂とともに少しずつ狂っていく薫子。
その目を覚まさせたのは、息子や夫なのかもしれない。
脳死判定を巡る日本の現状を描いたこの作品。考えさせられる内容である。
脳死判定を受けずに自宅介護を続ける子供は今もいる。
そして、重い病気で、臓器提供を待ち続けているけれど、日本では臓器提供が難しいため、結局アメリカに高額のお金を払って手術を受けに行く子供たちもいる。
どちらの気持ちもとてもよくわかり、実際自分がこうなったらどうするだろうかと考えさせられる話であった。
プロローグとエピローグは個人的にはなくてもよかったような気もした…。
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