藤原智美 講談社文庫 (1992)1995
STORY: 規則正しいリズムで生活を送る地下鉄運転士。ある日、車庫に巨大なコピー機が捨てられていて・・・。
感想: 本来この文庫には2本収録されている。1本は表題作で、もう1本は『王を撃て』。普段なら2本読むと思うが、結局表題作のみしか読まなかった。
第107回芥川賞受賞のこの作品。何となくこの間の電車の事故があったのでふと昔読みたいと思ってそのままになっていたことを思い出し、読んではみたのだが、一言で言うと「さすが芥川賞!」という感じ。これは私にとってはほめ言葉ではなく、難解で意味がわからなく面白くない・・・という意味である。
ということもあって、多分2本目の作品も性に合わないだろうと思ってやめてしまった。
運転士のちょっと変わった日常生活と思考が描かれている作品。駅名を連呼して安心する儀式としているが、この駅名が地下鉄千代田線のもので、この運転士は千代田線の運転士なんだ?と思ったら、「実在する地下鉄とは関係ありません」と書かれていたので、なんだ・・・と思った。
ただ乗客に「運転手」と呼ばれたときに「運転士である」ということを強調したり、とにかく運転士に対してすごくプライドを持っているというのは感じられた。また多分電車の運転ってすごく大変なんだろうなということも。オーバーランしてしまう描写があるが、やはりそういうことは運転士の恥になるのだろう。内容はともかく運転って大変そうだなというようなものは感じられた作品だった。
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