2004年12月03日(金) |
海峡を渡るバイオリン (ネタバレあり) |
原作本は『海峡を渡るバイオリン』。
自分がバイオリンをやっていたこともあるので、見たいと思い、DVDに録画したものをようやく見ることができた。久しぶりにテレビのドラマで感動的な重々しい作品を見たような気がした。
時代の描写も、この間見たNHKの『シェヘラザード』のようにちゃちなものではなく、ところどころで白黒の写真や映像を入れながら、違和感なく見せてくれた。また、韓国の風景の美しさや日本の昔の街の感じなどもよい感じに描かれていて、さすが『北の国から』に関係していた人だなーと思ったりした。
バイオリンの演奏シーンに関しては、きちんと弾いている人とそうでない人との差が結構あって、特に最初の方のシーンではこの弾き方ではこの音は絶対に出ないだろうと思われて、ちょっとがっかりする場面もあった。やはりそういうところはきちんとやったほうがいいのではないかなーと。そのほうが説得力があるように思った。とはいえ、私がバイオリンを習っていたからそのように思うだけで、実際に全く楽器に触れたことのない人にとってはそんなことはわからないのかもしれない。
最も素晴らしかったのは子供が死の境目にあるときに嵐の中、二人で言い争い、その後二人で協力して倒れてきた木を引っ張るシーン。雨降って地固まるというが、まさにそういう感じ。でも、このシーンの鬼気迫る演技はすごくよかったし、親としての心や子としての心、自分が打ち込み続ける物事への戸惑いなど、様々な感情が入り乱れていたと思う。また、韓国人であるがゆえに普通の日本人とは同じようにできなかったことのもどかしさなどもすごく伝わってきた。ただし、この嵐が激しい中、「家が壊れそう」という台詞なのに、その割には電気が揺れているだけで家がすごく揺れている感じが出ていなかったのはちょっと残念かも。まあ、そこまでやるのは本当に大変なことなのだろうから仕方ないのかな。
それと一番気になったのは妻の父が全然登場しなくなったこと。やっぱり韓国人と結婚した娘など勘当だったのだろうか。そういう描写がなかったので詳しくはわからないのだけど。
時代に翻弄されながらも、バイオリン作りというひとつのことに没頭した主人公。この生き方がよしというわけではないと思った。やはり子供や妻を食べさせることもできないようでは男としては中途半端としか言いようがない。嵐のときに娘が死の瀬戸際に立たされて初めて自分の境遇に気づき、悔い改めた主人公。気づくのが遅すぎることがなくてよかったなと思った。
バイオリンはよいものはものすごい値段で売れる。今はきっとあの苦労も報われてよい暮らしを送っているのであろうと思う。
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