2003年08月26日(火) |
FLY, DADDY, FLY 金城一紀 |
講談社 2003
STORY: 高校生の娘を持つ平凡なサラリーマン鈴木一。彼の人生は娘の遥がインターハイのボクシングチャンピオン石原に殴られ大怪我を負ったときから変わってしまう。石原を殺そうと誤って別の学校に乱入して、朴舜臣とその仲間たちと出会ったとき、鈴木一は新しい自分になる努力を始める。
感想(ちょっとネタバレあり): 久々に面白い小説だった。何より文章がいいと思った。そして、「私」の心情がものすごくよくわかる風に描かれていて、どんどん引き込まれてしまった。朴舜臣とのやり取りが何だかほのぼのとしているところもあって、感動がこみ上げてくるというか。
個人的に「私」が体を鍛えて強くなっていく様子がすごく面白かった。最初は死にそうになり、へとへとになり、逃げ出そうかと思ったり・・・。でも、娘のために奮起をしていく姿。そして、木に登ろうと必死になるところに声援を送る人々。バスに乗るいつものメンバーたちも、バスとの競争に勝ったときには拍手を送ってくれる。なんだかそういう一つ一つの出来事がすごく感動を与える。
最後の石原との対決場面でも、逃げ出したくなる心情、言い訳の気持ち・・・すごくそれがリアルな感じで、説得力があった。
何だかとっても元気になれる本だと思う。
|