感想メモ

2003年03月10日(月) ハリー・ポッターと炎のゴブレット  J・K・ローリング

松岡祐子訳 静山社(2000)2002

STORY:
夏休み中のハリーは以前よりは虐げられない生活を送っていた。クィディッチのワールドカップがイギリスで開催されるということで、ハリーはウィーズリー一家とハーマイオニーとともにワールドカップを見に行く。試合終了後、死食い人が行進をし、かつてヴォルデモートが死をもたらしたときに打ち上げたという闇の印が打ち上げられた。ハリーはヴォルデモートの力が強くなっていることを感じる。新学期が始まり、三大魔法学校の対抗試合が行われることになる。参加資格は17歳以上なのだが、なぜか14歳のハリーが4人目の代表選手に選ばれてしまう。週刊誌に中傷記事を書かれたり、学校のみんなに卑怯だと思われたり、様々な困難の中、ハリーは3つの課題に挑戦していく。

感想(ネタバレあり):
 ハリー・ポッターシリーズ第4作目。全7作の予定だというから、ちょうど半分に辿り着いたというわけ。3冊目までも分厚くて重いハードカバーだったけれど、今回はなんと上下巻で、前に比べるとさらに分厚いような気が。でも、お話はやはり面白く、夢中になって読んでしまった。

 最初の方でクィディッチのワールドカップの模様が出てくる。私はどうもスポーツ好きではないのもあって、ハリーが出ているわけでもないクィディッチの試合の部分はあまり面白くはなかった。この小説の特徴として、登場人物の会話に伏線が貼られていることが多いということが挙げられると思うのだけれど、クィディッチの部分とか、それ以外のところでも、気をつけて読んでいないとわからないことも多く、私は前に戻ってその描写を探したりしてしまった。本来はこういった本こそ図書館ではなく自分で買って何度も何度も繰り返して読んだ方がいいのだろうなと思う。

 上巻では、ロンとハリーが仲たがいしてしまう。ハーマイオニーは3人の間に立っていることは立っているけれど、二人をわりかしそっとしておいている。この部分の描写は自分の子供の頃などを思い出してしまうのに十分だった。本当はお互いに気になっているのに意地になってしまって仲直りができない。そんなじれったいような気持ち。自分の味方が一人でもいれば人間って本当に強くなれる。自分の言葉を信じてくれる人がいればそれだけでいい。そんな親友ロンと話すことができなくなってハリーは孤立無援のような状態だったと思う。仲直りしたときは本当によかったと思った。

 ところで、ハリーも14歳となって、ダンスパーティに出たりするお年頃なのである。今まではそういった恋愛沙汰のような場面はほとんど出てこなかったと思うのだけれど、さすがにこの年になってくると色々とあるものなのね。前巻あたりからハリーはチョウ・チャンという女の子に好意を持っていたわけだけれど。ハリーとハーマイオニーは全く何の恋愛感情もないみたい。ハーマイオニーはハリーには尊敬のこもった友情みたいなものを抱いているのかな。それに引き換えロンは実はハーマイオニーのことが好きであるようだ。ハーマイオニーはどうなのか? ロンのことが嫌いではないような気はするけど、好きというほどでもないのかな。今後もこのあたりの恋の行方が描かれていくのだろう。

 最後の部分でついにヴォルデモートが復活してしまう。このシーン、ものすごい怖さ。この本は子供向けのはずだけれど、実際に人が死ぬ。たった1つの呪文を唱えられただけで人が死んでしまうのだ。セドリック・ディゴリーは一気に殺されてしまう。あまりのあっけなさに、え? 嘘? という感じだ。ヴォルデモートの手下となっているのがマルフォイ、クラッブ、ゴイルの3人の父親たち。やはりこのスリザリンに入っている3人とハリーはいつか対決しなくてはならないのかもしれない。

 この巻ではかなり大人の内容が多く、実際のところ小さい子供にはわからないことも多いような気もする。昔の裁判の様子もそうなのだが。裏切ったり寝返ったり、味方だと思っていた人が敵だったり、敵だと思っていた人が味方だったり・・・。もう誰も信じられないようなそんな展開。さらに魔法省のファッジの対応にもびっくりさせられる。保身に走る大人の典型。リータ・スキータもすごい。あることないことでっちあげて記事にする。マスコミの悪い面の典型という感じ。

 次回5作目も原書では発行が決まったようだ。翻訳版はさらに時間がかかるんだろうけれど、すごく楽しみ。というか、原書がほしい気がしてしまっている。原書で読んだらどういう感じなのかなと思って。でも、そんなことしてしまったら、一つも他の本を読めなくなってしまうから、やっぱりやめとこうと思うけれど。


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