楓蔦黄屋
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2013年06月02日(日) たいだん

水のクリスタルの力を解放し、
無事に外大陸の闇の力が払拭され、
さあセーブだといったん街の外にでかけたら
エンカウントした敵に全滅させられてすべてが水泡に帰す。

あのさあ、この
「バトルで全滅した場合のみコンティニューが発動しない
っていうクソ仕様なんなんすかね?
いっちばん意味ねーじゃん。
オートちゅうだんシステムとやらはどこ行ったんだよオラアアアアアアア!!

ということでやる気をなくしたため
マイハズバンドにクラーケン撲滅を丸投げし、
こちらでは前回に引き続き、シドさん特別企画をお届けします。
題して、


*†*:;;;:*†*:;;;:*†*
【シド子の部屋】
*†*:;;;:*†*:;;;:*†*

エンタープライズTVをご覧の皆さんこんばんは。

窓辺のマーガレット、シド・ヘイズ(64)です。

オヨヨ。

今週もゲストをお招きして、いろいろな楽しいお話を伺いたいと思います。

というわけで本日のお客様は、ドワーフの洞窟よりお越しのあのかた。

ドワーフさんです。どうぞ!ラリホー!





どうも。






こんにちは。





どうかなさいましたか。

えっ。

ああ。

失礼しました。こんにちは。

ええとあなた、ドワーフの洞窟からお越しになったかたでいらっしゃる。

はい。

そうですか。すみません。

ちょっとね、あたくしの想像とずいぶん、こう、お姿が違ってらしたから。

そうですか。

もうちょっとこう恰幅がよくてね、「ラリホー!」って元気なかたを想像してたものだから。

そうですね、ドワーフは大体そうですね。

でもあなたもドワーフでいらっしゃるのよね?

いえ、ドワーフではないですね。





ちょっとごめんなさい。

あなたはドワーフではらっしゃらない。

ちがいますね。

ちがう。

ちがいますね。

まあ住民票やなんかは移しましたけど、ドワーフではないです。人間です。

人間のかた。

はい。

人間のあなたが、なぜドワーフの洞窟に住んでいらっしゃるの。

そうですね、一番の理由はやっぱり通勤に便利だからですね。



通勤。

はい。職場がアーガス城の近くなんですけど。

前はカズスに住んでたんです。で通勤は徒歩+船だったんですけど。

直線距離で近いしいいかなー、なんて最初は思ってたんですけど、山間部の徒歩って思ったより時間がかかっちゃって。あそこ、道幅もえらく狭いし(笑)。


これなら最初から船のほうが早いじゃん、と。そしたら知り合いが
あのね、なぜあなた今日いらしてくださったの。

はい?

あのね、他のドワーフのかたたちは、たくさんいらっしゃるのよね?

いますね。

なぜあえて、人間であるあなたがおいでになったのか、そこの理由は何かしら。

ああ。

ドワーフのかたがおいでになりたがらなかった?

いえ、そんなことはないです。

最初に出演のお話をいただいたときは、それはもうドワーフみんなで盛り上がってました。

あらそうなの。

「シド子に会えるなんて夢みたいラリー!」とか「握手してもらいたいラリー!」とか、大騒ぎでした。

まあ光栄です。

一人しか行けないってことがわかってからは、それはもう大喧嘩して大変だったんです。連日連夜、武器を手に出演権の争奪戦がくり広げられていました。

それはちょっと危険だわね。

みんなエキサイトしちゃって。「シド子に会うのは俺ラリー!」とか「お前にテレビ出演なんかさせないラリー!」とか「栄光は俺のものナリー!」とか、
「ナリー」?

はい?

「ナリー」っておっしゃった?

はい。

そういうかたがいるの?

いますね。

いる。

けっこういます。

そう。それで、最終的にあなたが争奪戦を勝ち抜いた、と。

いえ、勝ち抜いたのはドワーフの一人です。私はそもそも争奪戦には参加してないので。

じゃあ、そのドワーフさんがあなたにお譲りになった?

譲ったというか、飽きたんです。



飽きた?

優勝者が決まった時点で、ドワーフみんなでまたワーッと盛り上がって、それで終わっちゃったみたいです。

終わっちゃった。

気が済んじゃったんです。

気が済んじゃった。

喧嘩がおさまって静かになったんで、ああ終わったんだと思って、私聞いたんですよ。「誰が行くことになったの?」って。そしたら「何が?」って。



忘れてるんですよ、もうすっかり。当初の目的を。



それが今朝のことだったんです。さすがにちょっと私もあわてて、「この番組は生番組だし、誰も行かないっていうのはまずいんじゃないの」って訴えたんですよ。



そしたらみんな「ラリホー!」って。



もうみんな「ラリホー!」しか言わない。



とぼけてるんじゃないんですよ、本当に忘れちゃってるんですよ。



すごく晴れ晴れとした顔してね。瞳キラキラさせて。

キラキラ。

そうです。なもので私、あわてて支度して、テレビ局までおおいそぎで船とばしてもらって。

…………。

それで、本日いらしてくださったと。

まあ本当のことを言えば、私もシド子さんに一度でいいからお会いしてみたかったもので。棚ボタといえば棚ボタでしたが(笑)。



そうですか。光栄です。

こちらこそありがとうございます。

できればあの、あとでサインも
というわけで本日のお客様は、ドワーフの洞窟からお越しのかたでした。ありがとうございました。

みなさま、ごきげんよう。


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【シド子の部屋 〜了〜】
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楓蔦きなり

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