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記録すること - 2005年04月22日(金)

斜向かいに住む祖父の認知症が進んでいる。
健康に人一倍気を遣っていた彼は、認知症を除けば、90歳近い今も、至って健康体だ。一人で何でも出来る。
それが、困る。
何をしでかすか分からないから、同居の叔父は四六時中、祖父の行動を監視せざるを得ない。
祖母は、健康な祖父が認知症であることに耐えられず、始終苛立っている。
みんな疲れている。

施設に預けた方がいいんじゃないか、という話が出た時、いつも祖母を探して歩く祖父の姿が浮かんで、私は、可哀想だ、と言った。
だけどみんなの生活が成り立たないでしょう、という意見に、何も言えなかった。

翌日、祖父宅を尋ねると、祖母が餅菓子を勧めてくれた。
満腹だからと断った私に、祖父が、食べなさい、食べなさい、と何度も促す。
昔から祖父はそうだった。尋ねていくとお菓子を探してくれて、掘り炬燵で一緒に時代劇を見ながら、お茶を飲んだ。
いつからあの茶の間に私は近付かなくなったんだろう。

そんなことすら忘れてしまっていたのが悲しくて、悲しくて、だから、記録しておく。


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