散々遊んで来て、金に不自由したことのない、 恁した人間の道楽なんて他愛ないものである。 それに引き換え、その他愛なさが彼女達を幸福にしているのであった。 一つのグループには、忽ち一つの共通した感情が約束される。 例えば怒る時も共通、喜ぶ理由にも過不足があってはならない様に見える。 嫉妬に加担し、浮気の共犯者になる。 何処から見ても、形からはみ出す不便というものがない、そして自由である。 泣くことで、彼等は悲しくなるのだ。 所作や動作で、感情を表現出来ない思想なんか一つも無い。 それ以上のことは生意気に考えるものではない、 そういう躾が板に附いているのであった。 口を開けば、口から出て行く決まり切った言葉に従って… 取り敢えず喋っている中に、それを頭と心が納得して行く。
★眼の哲学/青山二郎★
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