宿題

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2006年10月19日(木) 20世紀ノスタルジア 撮影日記/原将人
杏の前から姿を消しオーストラリアへ行ってしまったトオルは、
初期の稿では崖から落ちて死んでしまっていた。
その話を広末にしたら、彼女は、「生きていて良かった」と
うれしそうに言った。
私も話の方向に自信がもてた。

「20世紀ノスタルジア」の初期稿では、死が色濃く支配していた。
何度も書き直しているうちにそれが重たくなってきた。
トオルがオーストラリアに行くだけにして書いてみたら、
救われた気分になった。
私は、男の子と女の子が結ばれることが、
地球の滅亡を防ぐことになるような、
ファンタジーと青春映画がひとつになった映画が見たいと
思うようになってきていたのだった。
「20世紀ノスタルジア」はそんなふうにして出来上がった映画だ。
撮影中でも、私は時折、初期稿の重たい気分の方に
揺りもどされることもあった。でも、広末涼子の演技プランが
つねに未来に向かってバランスをもどしてくれた。
「杏はそんな風にクヨクヨしたりしないと思います」と彼女は言って、
演技してみせてくれた。とても杏らしかった。ああ、そうか
杏ってこういう子だったのかと教えられることがしばしばだった。
広末涼子は杏に迷いのない自分の姿を投影して、この映画の主人公を
見事に造型してくれたのだった。


★20世紀ノスタルジア 撮影日記/原将人★

マリ |MAIL






















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