らも ボブ・サップをおれはボディガードとして雇いたいね。
野坂 いや、ボディガードとしては向かないね。 ボディガードにはボディガードのテクニックってのがあって。 ボブ・サップみたいに自己顕示欲の強いヤツは、 一人がかかってきたらそっちにいっちゃうでしょ。 そのすきにもう一方から襲われちゃう。 ボブ・サップみたいな人こそ向かない。 あなたのボディガードやるなら、僕みたいな臆病者が一番いいわけ。 つまり臆病であってこそ「あいつ、目つき悪い」とかわかるわけよ。 ボブ・サップなら、例えばそこにいてげたげた笑ってるだけで、 お金とれるでしょ。 僕の場合だったら、「卑怯者!」とかなんとか言われながら 一生懸命しゃべって、それでお金をいただくんだから。 つまり卑怯芸人、臆病芸人、ねたみ芸人、そねみ芸人、恨み芸人… そういう人間こそがボディガードにはいいんですよ。
らも けど武器を持ってないじゃないか! どうやってガードをするんだよ。 おれは今週、散弾銃を持つ許可を申請に行く。 「クレイ射撃をやる」ってウソをついて。
アトム ええええーっ!
鮫肌 散弾銃、持つんですか!?
らも うん。
野坂 散弾銃の銃身を半分に切って持たれると、 これはもう誰も相手にならない。 撃たれると体中に弾が入っちゃって取れないから。 一発では全然死なないけれどもね。 まぁだから、それをお持ちになればいいじゃないですか。 酒飲んで、散弾銃の銃身切ったの持ち歩いてりゃ、 あなたのそばに近づく人はいなくなる。
◇
らも 羊のように無抵抗のまま殺されるのはまっぴらご免だ。 だから武装するんだ。
野坂 じゃあ殺されるようなことをしなきゃいい。
鮫肌 らもさん、狙われてるんですか?
らも 相手が狂ってれば、おれを殺しにくる。
野坂 いや、正気だから、くるんじゃないの。 狂ってたらさ、目に入んないもん、あなたなんて。
らも …てめえの心配しろよ。
★イッツ・オンリー・ア・トークショー/野坂昭如×中島らも★
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