宿題

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2006年05月17日(水) 高田渡/高田漣『27/03/03』の解説/鈴木慶一
この、NHK505stでのライヴは、2つの大きな意味が込められている。
1つは、ご子息の高田漣さんとの共演。
それはフォーク・ミュージックの持つ極めて大きな要素、
伝承と言う事を見事に具現化している。
伝承とは過去のモノをそのまま伝えると言う事ではなく、
常に現在が足されると言う使命を持っている。
それを、この演奏から感じ取る事が出来る。
もう1つは、高田渡さんのコンディションの良さだ。
漣さんとの血のコラボレーションがもたらしたのか、
それとも別に理由は無かったのかわからないが、
ギターのピッキングの1音1音から、声の隙間にもぐり込んでいる余白も含めて、
力強く、生き生きとしている。
私は、このライヴを番組でオンエアーした時、絶対に作品として
リリースされるべきモノだ、と強く思った。
こうして1枚のディスクとして、たくさんの人が繰り返し聴けるのは、大変に嬉しく、
さらには、深い悲しみも伴う。
渡さん、私はこういう演奏が聴きたかったんだよ。
そして、いい時に席を立ってくれた。
漣さんのソロの演奏も織り込めたんだ。
そして、絶妙の席への戻り方だ。
その後、席を立った渡さんは、2度と戻って来なかった。
あなたの席はずっと空席だ。誰も、そこには座れない。
椅子の上には高田渡の音楽が置いてあるから。
それを敷いて座るのは、柄が良くない。


★高田渡/高田漣『27/03/03』の解説/鈴木慶一★

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