時には、違法、いかにも坂本龍一らしい言葉だな、と思う。 何が、らしいかというと、正確なのだ。 「キューバリズムは抽象的だよね」 「シンコペーションてさ、抑圧が必要でしょ?」 「あの、49RSのレシーバー、音楽的だったね」 とにかく、坂本の口から出る言葉は、もそもそしているくせに、いつも正確だ。
坂本は、ドラマチック、という概念と日本一かけ離れた喋り方をします。 昔はアジ演説もしたなんて言ってますけど私にはとうてい信じられない。 「どうしてヒトは、言語という手段に頼らざるを得なかったのだろう…」 というような悲しみをたたえているような、 信じていないからこそ数学的に正確な言葉を選ぶというような
★「時には、違法」解説/村上龍一★
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