国際結婚に偏見が強かった時代である。 しかも健民氏から 「アナタワタシと結婚シマス。でもワタシ香港と四川にオクサンいる。 だから給料半分コね」 というキテレツなプロポーズに 「うむ、この人は正直でよろしい」 と感心して結婚を決めたというから洋子さんもタダモノではない。
心に境界線を引かない洋子さん、なんと四川に暮らす健民氏の娘も、 香港で暮らす2番目の妻とその子どもたちも自宅へと招き入れてしまう。 当時、健一さんは多感な高校生。 「そりゃあ、正直言えば心中複雑でしたよ。 いじわるな言葉を一生懸命、これは思っていても絶対言っちゃいけないと 抑えつけていました」
心を閉ざしたまま数日が経った頃。 父の2番目の妻であるその人が手際良く作ってくれたのが蟹チャーハン。 「これがびっくりするくらいおいしくてねえ、 心を開くようになったのはそれがきっかけかな」
その人のことを香港ママと呼び、今でも子どもたち共々、交流が続いている。
★母「洋子さん」について/陳健一★
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