山下「(憂鬱と官能を教えた学校について)あの分厚い、立派な本! 随分原著に当たったんじゃない?」
菊地「あれほど頑張ったことはないですよ。 仮説立ててから原著に当たり、音源を聞き直し、 図書館で資料を探し、ネットを検索しまくって、 一人じゃできないから、大谷(能生)君と組むことにして、 彼と打ち合わせを頻繁にして」
山下「完全に学者の世界だね。学者菊地の誕生だ」
菊地「そん時三度目の神経症の治療中ですからね(笑)、 もう大・学者ですよ(爆笑)。 発作の不安に怯えながら精神分析医にかかって、 薬パカパカ飲んで、ものすごい暗い顔で授業に行くという(笑)。 で、「音韻が……」とか講義すんの(笑)」
山下「東大の授業の一環で演奏を聴かせるというので、 デュオに呼んでくれたことがあったよね。 あの時、タクシーを降りる菊地を見かけたんだよ。 もう完全な学者のオーラでさ、資料を風呂敷包みに入れて、 それをかかえて教室に入ってくる猫背の少壮学者って感じで(笑)」
★花火を上げろ!菊地成孔のできるまで/山下洋輔×菊地成孔★
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