タクシーから外国にいるはずの母が。 母「すぐに戻りますから」
家に駈け込むと、家族3人で引越しの準備中。 母(ぜいぜいしながら)「ちょ、ちょっと、ちょっと待ったっ!」 父「なにー、なんで帰ってきたのー?」 母(何かの家具の裏に隠してあった何かを取り出して)「あった!」 父「何?」 母「見せたくないもの隠してたの。カトマンズ歩いてて、急に思い出しちゃって」 父「電話してくれれば良かったじゃない」 母「だって見るじゃない」 父「いいじゃない。夫婦なんだから」 母「じゃ、私戻るわ。(テーブルの上に置いてあったおにぎりを1個取って) あ、今度帰ってくるの新しい家よね」 父「ああ」 母「まちがえないようにしないとね。ははは(笑って出て行く、何か落とす)」 父「ふふふ(笑う)かーわいー」
弟「あれ?落としちゃった(手紙のようなものを拾う)。 あ、これキリタニサトルって書いてある。あ、お父さんだ」 父「俺が若い頃出した手紙だ」 弟「父さんからの手紙だ」 兄「え、なにちょっと待って。これ取りにわざわざカトマンズから戻ってきたの」 父「自分の中だけに閉まっておきたい思い出ってあるんだよなぁ。 捨てられるのも見られるのもやだったんじゃない」 弟「うっそ、のぶたんて呼んでたの?」 父「え、見るでない、こらっ!コドモ!こらっ」
★野ブタ。をプロデュース/木皿泉★
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