「これ人しか映ってないんだよ、知ってた? 好きなものって、人なんだよ。 おもしろいよね、冷たそうに見えるのに人が好きだなんて。 き、きっと周りの人をものすごく大事にする人なんだね。 その為に嘘ついたり、すごい我慢したりしてるのが、 これ観てるとよくわかる」
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父「おし!じゃあこの中で一番ムリなことを言った人が、 このメロンを食べる権利があるということにしよう。ね!」 兄「ムリなこと?」 父「だから、この中で一番すごい駄々をこねた人が勝ちってことよ」 弟「なにそれー」 父「はい、コドモ!ホイ(クッションの方に行けと合図)」 弟「ぃよしっ!えー(クッションに倒れこむ) なんでわたなべより背が低いんだよ!(バタバタ)」 兄「わたなべって女だろ、なぁ」 父「女?こころざし低いなあ、お前。おし、修二、お前も駄々をこねてみろ」 兄「俺?いいよー俺メロンとかいらないもん」 父「そういやお前、子供の頃から駄々こねたことないよなぁ」 弟「へぇーそうなんだ」 父「なんだかしんないけど、やたら聞き分けがいい子でさぁ。 ん、じゃあ俺やっていい?」 兄「やんの?」 弟「見たい!」 父「んにゃー!だー!にゃろー本当は会社なんか行きたくないんだよー! うー部長なんか大嫌いだぁーあー!(ドスドス)」
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「俺たち本当に付き合ってんの、って聞いたじゃん。 …俺さぁ今まで人を好きになったことがなくて。 俺、マリコのこと好きだって思ったことは、ないんだ。 なんか恋愛みたいに自分をコントロールできなくなるのが苦手っていうか… そういうのって嫌いで。 だけど周りの奴らには恋人がいるんだっていう風に思われたくて。 それでマリコと一緒にお弁当食べたりしてた」
★野ブタ。をプロデュース/木皿泉★
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