たこちゃんが死んだ時は、外波山と相談して、たこちゃんのお地蔵さんを作ったんだよな。 そこにたこちゃんがメチャクチャに酔ってる時に書いた文字をそのまま彫り込んで。 「めいわくかけてありがとう」ってあれさ。 でも、オレはお地蔵さんはいらないね。 それよりももっと葬式をショーアップさせたい。 例えばファンファーレが鳴ると、すっ裸にされたオレの死体が祭壇の上に登場する。 で、昔と今の女房をはじめ、オレと関わりのあった女たちがやってきて 死体を包丁やナイフで思う存分、切り刻むのさ。 ひととおり切り終わった頃になって、その肉だけを取り出して、 網の上かなんかにのせて焼く。 ちょうど焼き上がったところで、集まった友達みんなに食べてもらう。 いいだろ?死んだ人間の肉をみんなで食べて体の一部にする習慣、 たしか昔から日本のどこかにあったよね。それをあえてやりたいのさ。 オレ、前に付き合ってた何人もの女に「かわいい!あなたを食べちゃいたいわ!」 って言われたし、オレもいい女がいたら、「おまえのこと、食べちゃいたい」 って何度も言ってる。つまり「食べる」ってことは最高の愛情表現なんだよ。 死んだら海に流してくれ、だの、灰にして山に捨ててくれ、だのいろいろ言うヤツいるよね。 でも、オレ、そんなのヤだ。 死んだ後、ひとりぼっちにされるみたいで寂しいじゃないか。 生前、仲の良かった連中みんなの体の中に入ってるほうがずっと楽しい。 なんなら、キミもオレの葬式の時、肉食いにきてもいいよ。
★人生これでいいのだ!!/赤塚不二夫★
■どんなお葬式にしたいですか?という質問の答えの一部。
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