(結婚したらネタにされるのは)僕も覚悟はしていました。
とは言うものの、実際漫画に描かれるとやっぱ照れますね。
嫁さんが自分をどう思っているかも客観的にわかりますし、
愛情がストレートに出ていてすごく嬉しいんですが、いや、恥ずかしいですね。
◇
嫁さんのマンガは、マンガを読んで現実に還る時に、
読者の中にエネルギーが残るようなマンガなんですね。
読んでくれた人が内側にこもるんじゃなくて、外側に出て行動したくなる。
そういった力が沸いて来るマンガなんですよ。
現実に対処して他人の中で生きていくためのマンガなんです。
嫁さん本人がそういう生き方をしているから描けるんでしょうね。
『エヴァ』で自分が最後までできなかったことが嫁さんのマンガでは実現されていたんです。
ホント、衝撃でした。
◇
嫁さんは巷ではすごく気丈な女性というイメージが大きいと思いますが、
本当のウチの嫁さんは、ものすごく繊細で脆く弱い女性なんですよ。
つらい過去の呪縛と常に向き合わなきゃいけないし、
家族を養わなきゃいけない現実から逃げ出すことも出来なかった。
ゆえに「強さ」という鎧を心の表層にまとわなければならなかっただけなんです。
心の中心では、孤独感や疎外感と戦いながら、
毎日ギリギリのところで精神バランスを取っていると感じます。
だからこそ、自分の持てる仕事以外の時間は全て嫁さんに費やしたい。
そのために結婚もしたし、全力で守りたいですね、この先もずっとです。
★庵野監督 カントクくんを語る◇監督不行届あとがき/庵野秀明★
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