横尾 「情の問題を解決しておかないと、『内面の表現』とか言い出すんだよね。
あれもおかしいよね。だって、絵なんて外面しかない。内面なんかないわけ。
生半可な情が出てきて、変なことを言ったり、したりするんですよね」 タモリ 「内面なんて、どうだっていいわけですよね」 横尾 「うん。どうだっていいわけです。
だから、ぼくは『Y字路はフォルムだ』っていうんです。
絵はイメージよりもフォルムが優先なんですよね。人はイメージを優先したがるけど。
フォルムがきちんと描けていな絵はついイメージについて語られてしまうから。
Y字路については、
『夜の風景は、子どものころ懐かしい感じだ』とか、『電気が暗かった時代を思い出す』とか。
谷崎潤一郎の『陰影礼賛』をひきあいに出す人もいれば、
『人生の岐路に立たされている』とか。ほとんど同じことばかり言われるんです。
『消失点が2つある』とかおっしゃる人もいっぱいいるんだけど、
現実のY字路に出会ったときは、そんなふうにはとらえませんよね? 」
タモリ 「みんな、何も言わないっていうことがイヤなんじゃないのかな?」
★Y字路談義。第13回/横尾忠則×タモリ★
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