宿題

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2004年12月09日(木) 私の猫たち許してほしい/佐野洋子
「姉さん、これ全部入るかしら」

といった。叔母と母は、足の方と思われるところから順々に入れ、

頭をつぼの上の方に入れようとしていた。

実際にはどこの骨か見わけがつかなかったけれど、気持ちとしてはそうしたかった。

入りきれない骨がどこかに捨てられてしまうことを考えれば、出来るだけたくさん入れたかった。

叔母は、

「姉さん、これぜんぶ入るかしら」

と何度もいった。

叔母が、

「ここが頭よ」

といった時、もう骨はつぼいっぱいになっていた。

叔母は、大きな骨をつぼの上にのせて、「エイ」と押しこんだ。

押しこみながら笑いだした。

「いやだわ。あんた、ほらこれも入るわよ」

と母も笑いだした。

笑いながら、母と叔母は、あの大きな頭蓋骨を持つ祖父を、白い骨壷におさめた。


★私の猫たち許してほしい/佐野洋子★

マリ |MAIL






















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