「姉さん、これ全部入るかしら」
といった。叔母と母は、足の方と思われるところから順々に入れ、
頭をつぼの上の方に入れようとしていた。
実際にはどこの骨か見わけがつかなかったけれど、気持ちとしてはそうしたかった。
入りきれない骨がどこかに捨てられてしまうことを考えれば、出来るだけたくさん入れたかった。
叔母は、
「姉さん、これぜんぶ入るかしら」
と何度もいった。
叔母が、
「ここが頭よ」
といった時、もう骨はつぼいっぱいになっていた。
叔母は、大きな骨をつぼの上にのせて、「エイ」と押しこんだ。
押しこみながら笑いだした。
「いやだわ。あんた、ほらこれも入るわよ」
と母も笑いだした。
笑いながら、母と叔母は、あの大きな頭蓋骨を持つ祖父を、白い骨壷におさめた。
★私の猫たち許してほしい/佐野洋子★
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