宿題

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2004年10月20日(水) 松ヶ枝町サーガ/芦原すなお
おぼろに人物の姿が浮き上がってきたころ、ぼくは床についた。

そして、木槌の音や、彫刻刀が木を削る小気味のいい音を聞きながら眠りに落ちた。

翌朝、茶の間のすみっこの小机の上に完成した彫刻が置いてあった。ぼくは驚いた。

それはばあちゃんの彫刻だった。着物を胸をはだけてずるりと着たばあちゃんが、

左手に庭箒、右手に小さな本のようなものを持って天を仰いでいる。

タビックスに草履をはいた右足で踏んづけているのは、鬼だ。

鬼は泣きそうな顔をしている。

「なかなかいいだろう」

起きてきた父が欠伸をしながら言った。

「四天王像をヒントにして彫ったんだよ」

「うん、すごいよ、これ!ばあちゃん、強そうだね。右手に持ってるのはなーに?」

「信用金庫の通帳だ」

「あ、そーか!鬼をやっつけてるんだね」

「病気をもたらす邪気を退治してるんだよ」

「これでばあちゃん、きっと良くなるね」

「あと二百年ぐらい生きるだろう。これ、お前がばあちゃんとこに届けといてくれ」


★松ヶ枝町サーガ/芦原すなお★

マリ |MAIL






















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