宿題

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2004年09月19日(日) 動物の親友/畑正憲
すでに許された時間はオーバーしていた。

ローレンツさんは、海洋博事務局で用意したレセプションに出なければならなかった。

通訳氏が腰を浮かせた。私は思い切ってたずねた。

「私は犬や猫などの家畜が好きです。と同様に、野生動物であっても、

家畜と同じように親しくなって、気持ちの通じ合うようにならないと満足出来ません」

「それで?」

「動物が人間に必要以上親しくなって示すことは、学問的には無価値という考え方もあります」

「ノー。それは学問を狭く考え過ぎています。もっと広いものです」

「野生動物と友達になるのはいけないという思想もあります。

ルールを無視してはいけないでしょうが、

私は、抱いたり頭をなでたりしなければ接した気になれないのです」

「いいじゃありませんか」

「動物が私に語りかけます。私はそれに聞き惚れます」

「それでいいのですよ。初めに言ったでしょう、私たちは珍しい人類だと。

クレージーなんですよ。それでいいのです。

私にもあなたにも、動物になっちまう権利と資格があります。動物の親友なんですよ。

動物を人間の世界に引張りこんで奇形化したと考えるより、

動物の世界に入りこんで、私たちの一部が動物と化していると考えるべきでしょう。そこですよ」

「はい」


★動物の親友/畑正憲★



■コンラート・ローレンツさんとの対談での話。
たぶんローレンツ博士はこの時70代前半で、畑さんは30代の後半。

マリ |MAIL






















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