先日のギャラリーTOMで催したインスタレーションに出品した指人形たちの表情を
一体毎に改めて見ると大変面白い。
それは小島美佐子さんが写してくださったアップの写真を見て一層さう思った。
作者としては老若男女も全く無視して、紙粘土で作れる形を次々に作ったのだけれども、
何処となくどれも作者自身に似ていると思う人に何人も遭った。
作り始めた春先の頃は人形の顔は少し暗いのが多かった。
しかし、だんだんに会期が近づくにつれて、明るくなっていったように思う。
明るいのがよく、暗いのが悪いというわけはないのだけれども、
始めの中は今度は少し芸術っぽく作ろうという拘りがあって、
どうにかして楽しくないものを作ろうという妙な決心が制作を不自由にさせたと思う。
そんな野心は目標の50体に近づくにつれて何処かに飛散して、
ただ夢中になって作ることになった。それは時間の余裕がなくなったせいでもある。
結果的に見ると人形というものが陥り易い下手なリアリズムや
センチメンタルの入り込む余地がなく自分らしい作品になったと思う。
★人形のこと(2004年7月20日)/柚木沙弥郎★
■ 小島美佐子さんの写真はここに。
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